猫記

猫の家系、その辺の猫、忘れがたい猫、その他
◆猫の世 

うちには只今10匹猫がいるが、それらを見ていると「猫がだんだん小粒になってきた」と思う。
近所にも大きな野良猫がいないような気がする。15年くらい前に引っ越して来た時、借家には既に大きなトラネコが住んでいた。山田(猫の名前)の知り合いの猫がやって来ると玄関先で「アーリャリャ、オーリョロロ」という不思議で不気味な言い争いが延々続き、最後は畑の中で決戦となる。
そういう客猫の中でも黒くて大きな野良猫がいて、我々は「よその黒」と呼んでいた。うちに黒猫のクロがいたからだ。また、裏の家の軒下に住む長髪(長毛)の大きな白猫で、パーッと派手でファーッと怒るので「パーちゃん」とか「ファーちゃん」とか呼ばれる猫もよく来た。
クロの姉妹のシマ猫のシマちゃんは、しましまで長毛気味の子猫二匹と黒い子猫二匹を産んだ。黒猫の一匹は女の子だがあとは男の子で、どんどんどんどん大きくなった。多分よそのクロとパーちゃんの子供だろうが、彼らに似て骨格も立派な大きな猫に育った。女の子も雌にしては大きい猫だった。母親のシマちゃんやクロもがっしりして立派な貫禄の持ち主だった。
やがて、山田もシマちゃんも黒猫の女の子もそれぞれふらりと出て行ったきり帰らず、よそのクロとパーちゃんも見えなくなった。シマちゃんの息子、お人好しの巨大黒猫ペエちゃんも早く死に、長老格のクロも死んだ。
天涯孤独らしい、灰色猫ユウクンは胴の短い脚の長い何だか変なバランスのがっしりした猫だった。ラスプーチンみたいな、いろいろ考えていそうな猫だったが、意外なくらい早く死んだ。
今はシマちゃんの双子の縞猫が大きいだけであとは何となく小粒な感じ。


考えてみれば、彼ら大きな猫達はかつて、自由に外を歩いていた。いろいろ厳しくなって中に閉じ込めたから出ていく者は出ていき、残った者は早死にしてしまったのだ。
どんどん小粒になる猫達は、家の中で生まれ、戸を開けても飛んで出て行ったりはしないのである。

2010/09/03(Fri) 23:36

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