蛍の光

私が生まれてこのかたほとんどの時間を過ごしてきた「学校」なるものに関する色々です。
◆偉い人の反対はえらそうな人( ケロロ) 

以前補助教員として勤めていた中学校で、ある生徒が言っていた事を思い出す。割と成績の良い彼は体育の教師になりたいと言った。なんで?と尋ねると「学校の中で一番の権力者だから。体育のN先生は教員の中で一番権力持っとる。いつも自分では何もせず他の先生に指図してさせよるじゃん。俺、ああなりたいんよ。」

N先生は中体連の理事とかで、担任は持っていない。保健の授業では「性教育なんかオレ絶対せんで!あんなん家庭科でやりゃええんよ」と威張っている。サッカー部の顧問だが、普段は「N先生は先輩だから逆らえない」という臨採の人に任せている。ただ、生徒指導の時は強面で幅をきかす。
なるほど。言われてみればいい商売よのう、と感心したものだ。生徒は教員をよくみている。権力関係、上下関係に敏感な彼らは、すぐに誰が一番楽をして威張っているかを嗅ぎ付ける。

大体体育の先生が一番で、管理職がエライとは不思議と誰も思っていないようだ。

とはいえ、私は昔から体育の先生はあまり好きではない。

父は中学校の教員で、社会、理科、英語、さらには家庭科、技術、美術、そして「柔道」の先生ではあったが、「体育教師」であった事はない。水泳もスキーも上手いし草野球もやっていたし、運動神経が悪いわけではない。柔道が強いので生徒には一目置かれていたけれど、強面で震え上がらせる感じではなかった。何しろ、ポケットに入れた生卵を忘れてオーバーアクションで語り、潰してだらーっと白身を垂らすような人なのだから。「威張る」という言葉が途方もなく遠い人だった。

父は強いから優しかった。それが通用しない世の中になる頃学校を去り、二度と戻らなかった。

だから私はN先生みたいな体育教師はあの子が何と言おうと、皆が尊敬しようと嫌いなのである。

2011/07/14(Thu) 21:06

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