蛍の光

私が生まれてこのかたほとんどの時間を過ごしてきた「学校」なるものに関する色々です。
◆がっきょう 

通称がっきょう。私の大学にある学校の先生になる人達が行く学部。キャンパスが市内の別の位置にあるから一年生の間くらいしか彼らとの接触はない。
たまたま教養科目で仲良くなった子ががっきょうの人だった。その子を通じて伝わってくるがっきょうの姿に私は震撼させられた。大講義室の講義でも一人で座るのは御法度。すぐ「どうかしたの?」という「手紙」が回ってくる。もちろん昼を一人で食べるのが許されるわけがない。必ずや噂話のネタになる。そして、交友関係に必ず指導が入る。「遊び人ばかりの△学部の人なんかと付き合ったらあなたのためにならんよ。」とがっきょう仲間から言われた、と告げられた私は苦笑いするしかなかった。この子もまた、いちいち言わなくても良いのに報告連絡相談(ほうれんそう)してくれる。私が持っているバッグについて、ああ言われている。私の服装についてこう言われている。私は変人ぶっている、と言われている…。
この子はそんながっきょう仲間から離れていたいらしかった。がっきょう仲間の悪口を言う相手が欲しかったのだろう。
がっきょうでは不思議なことに、遊び人ばかりの△学部では「ださい」こととされている同棲が多いらしかった。
ある夏の晩、私はふと思いたって宇品港から別府行きフェリーに乗った。朝、白々と明ける別府の街にご機嫌で上陸した私はがっきょうの子に電話をした。「別府いいよ!今夜の便であんたもおいでよ!」とハイテンションの私に彼女は、先輩から同棲を迫られて困っている!と泣き声でいうではないか。「お願い今夜うちに来て。一人にしないで!!」と迫られてしぶしぶ着いたばかりの別府から電車を乗りついで帰ってきた。汗だくでへとへとになって彼女の部屋に行くと、ドアを開けた彼女は「ゴメン…やっぱり私…」などともじもじしている。しかも男もののシャツの胸はちょっとはだけ、下は素脚ではないか。部屋には明るい音楽がかかり人の気配が。私は疲れていたので馬鹿野郎!と怒鳴った。このあばずれ!とは多分言わなかったが、そんな気持ちだった。
その後、がっきょうの人とは関わらないできた。がっきょうの恐ろしい学校文化を思うと、教員にだけはなるまい、と思った。したがって在学中には教員免許も取らなかったが、修了後思い直して通信教育で二種免許を取ってしまった…。

2010/05/01(Sat) 17:49

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