04/29の日記

13:28
敵機無し、退屈な空を見上げる
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峠の師匠Bさんが東京へギャルと逃亡した。この街が退屈だったのだろうが、私にとっては更に退屈な街になった。何だか失恋したようなすっきりしない気分である。

Bさんの車には惚れていたが、Bさんを特に好きだったのではない。峠の師匠として尊敬していたが、ふだんは呑んだくれの女にだらしない普通の不良オヤジに過ぎないと思っていた。しかしどうもこの人に関しては、意に反してベタな失恋みたいなシーンに遭遇するので、まるで私が本当に「失恋」したかのような嫌な気分にされるのである。

1月に組合関係で会合があり、いつもの駐車場に停めて参加していた。少しガッカリな会合だったので早々に引き揚げたら…ちょうど向こうから親子連れが歩いて来た。Bさんであった。当然妻子くらいはいるだろうと思っていたが全くそういう話をしない人なので「おお!やっぱりね」と思った。少しズンと重い気分だった。しかしBさんは妻子を先に行かせて道端でケータイをいじっている。もしや面倒なので私に声をかけられたくないのかもしれない、と思って素通りした。

車を出して走っていると、かの親子連れが自動販売機の所に立っている。私が憮然と通りすぎると、Bさんに似て濃い顔立ちの男の子が此方を指差していた。まあ、男の子には良くあることだ。中学生も私の青い般若車を指差して喜ぶ?のである。

ところがあとでラインのタイムラインを見てみたら「飲みだったのだろうか?足湯の帰りに発見!」と私の青い般若車がパパラッチされているではないか!あのときこれを送信していたのだな。そして男の子が指差したのもそういう事なのだな。タイムラインのネタ探しが趣味の人だから、あのときしっしっしと得意だったのだろう。子供っぽいのである。

しかし奥さんはなかなか美人風だったし子供らも可愛かった。関係ないのに、まるで少女まんがの「ガーン!」というシーンに無理矢理投げ込まれたようで非常に不愉快だった。


のちに、奥さんとは数年前に離婚しており、子供が月に一、二回泊まりに来ると聞いた。なるほど、あれはそういうひとこまだったのか。しかしライン上でチラホラ明らかに一緒に住んでいるらしいコメントをする女がいる。前はてっきり奥さんかと思っていたが、結婚してはいないが同居の女がいるのだろう。まあ、当たり前と言えば当たり前だ。

最近、湯田温泉の狭い道路でカップルを追い越したらまたまたBさんだった。明らかなギャルがBさんにしがみついていた。(後ろから爆音が迫ればしがみつきもするだろうが)バックミラーで確認すると、遠ざかるギャルがまるでこっちに手をふっているように見えた。「ア!あれじゃん、般若のインプバイバーイ!」という声が聞こえるようで猛烈ムカついた。これは何だろう。なぜこんなベタな失恋シーンに二回も付き合わされなくてはならないのか!

そして先日、Bさんが東京へ逃亡した。例によってはっきり言わないがギャル連れに決まっている。もう勝手にしやがれ。そもそも関係ないし。あんな山の無いところに行ったらBさんなど本当にただの呑んだくれのろくでなしである。箱根ならまだしも…

かつて私はこのようなベタなシーンに付き合わされた事があっただろうか、と考えてみた。好きな人が別の女とデレデレ歩いているのを目撃する!等々。いや、無い。無いのはなぜだろう。そもそも私が好きになる相手は比較的モテない男だったからだろうか。

彼らの名誉のために言っておくが私はルックス重視派である。だから彼らは決してブサイクではない。薬局のおばさんに「彼氏、キレイな男の子ねえ」と誉められた事もある。ロベスだって同じ年齢のオッサン達と同じ人間とは思えないスタイルの良さである。

彼らは誠実だったのだろうか。少なくとも私と親密になった人はその期間別の女とデレデレするのを目撃されるほど頻繁にデレデレしないくらいクレバーだったという事か。同時に八人と付き合っているという男友達がいたが、彼によると「とにかく隠す。命がけで嘘をつきとおす」のが秘訣だそうだ。私は彼の特徴ある青いスポーツカーを長門でたまたま見かけたが、「長門にいたよね」と言っても全く素知らぬ顔で否定するのであった。どこから秘密がばれるかもしれないから用心しているのだろう。


翻ってBさんにはそういうクレバーさも誠実さもない。ラインで女関係は巧みに隠しているところをみるとうまく遊ぶための用心は一応しているようだ。しかしすぐに目撃されたりするし、聞かれれば否定しないし、嘘をつくのも面倒くさいのであろう。つまり一言で言うと「だらしない」のだ。そしてこの点でもBさんは全くウソはついていない。「俺はだらしないし」と事あるごとに言っていた…

あの車はどうしたのかまだ不明で気になるが、Bさん単体がどうなろうと知った事ではない。だのになぜだろう。これはまるで失恋したようなシチュエーションではないか。

ロベスの知り合いに付き合って長い女に腹を刺された青年がいたが、世の中にはそういう男女の世界があるのだろう。私も、私の相手をするような男も、ちょっとそういう世界とは外れていたのだろう。思えば私達は酒をほとんど飲まない。酒呑みかどうかは結構住む世界を分けるのかもしれない。

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