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□いってらっしゃい
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いつからかな、フィンクスにとって私が恋人からただの便利な人になったの。


フィンクスとは幼なじみで、自然と好きになって、いつの間にか恋人になっていた。

流星街をクロロ達と出るって聞いた時、フィンクスと離れたくなくて一緒に飛び出した。
一応念は使えるけど蜘蛛に入れるほどじゃないのはわかってたから一般人としての平凡な生活。
フィンクスも仕事がない時は大体家にいてくれた。
だけどここ数年、フィンクスは私にご飯と体を求めてくるばかりで……

フィンクスは私をどう思ってるのかな?
只の家政婦?性欲処理の道具?
聞きたい。でも、否定されなかったらどうしよう。怖くて、聞けないよ……


いっそのこと自分から離れていった方がいいかもしれない。


フィンクスはもう一週間帰って来ていない。長い仕事だからいつになるかわからないと言っていた。

フィンクスが帰ってくる前にこの部屋をでていってしまおうか・・・
もう夜中の1時過ぎだ。ひとまず今日は寝ようと思いベッドに身を沈めた。
 




ガチャ





扉が開く音に自然と目が覚める。
帰って来ちゃったか・・
時計を見ると朝の7時。フィンクスがこんな時間に帰ってくるなんて珍しい……

軽く髪を整えてリビングへ向かう。

「フィンクス?珍しいね、こんな時間・・・・・に」


酷かった。何がって、フィンクスのオーラが。
怒り、悲しみ、苦しみ、殺意・・・そんな感情が全て込められているような。
立っていられない。ガクリと膝から崩れて床に座り込む。
このオーラには耐えられない。
両肩を抱きしめ身を小さくする。

ふと、フィンクスのオーラが消えた。安心してホッと息を吐いた瞬間、フィンクスに抱き締められた。
フィンクスの顔は見えない、けど微かに肩が震えている気がする。
彼をこんなにするなんて・・・・何があったのか。ゆっくりと背中に手を回して抱きしめ返す。

暫くたってフィンクスが離れてジッと私を見つめる。その目は私の全てを見透かすようで、恐ろしかった。
フィンクスの男らしいゴツゴツした、でもとても繊細な手が私の頬を撫でる。
 
こんな風に、愛しげに触れられたのはもの凄く久しぶりな気がした。

「フィ、フィンクス?」
「お前は、ドコにも行かないよな、?」
「え?なっ……っ」

思い切り引き寄せられて、息もできないような熱い、熱いキス。
頭がボンヤリとして来た所でフィンクスの腕が服の中に入ってきてピクリと反応する。

「んっ、フィン・・・ちょっ、まっ・・・」

息も絶え絶えにフィンクスの動きを制する。このままだと流されてしまう。何があったのか、キチンと聞いておきたい。
ギュッとフィンクスの手を握りしめる。

「な、何があったの・・?」

長い沈黙の後、フィンクスが微かに震えながら口を開いた。





「……ウボォーと、パクノダが、死ん、だ」






「………え?」


手を離して勢いよくフィンクスの肩を掴む。

「嘘………でしょ?」

自分の声が震えている。フィンクスは嘘だけはつかない男だ。よくわかってる。でも、聞かずにはいられなかった。

「何度も言わせんな…」

現実を認められない。頬に涙が伝う。






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