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□叶うなら、もう一度。
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誰も居なくなって、十代目の傍に一人、座り込んだ。

頭の中、浮かぶのは沢山の思い出。





初めて、出会った日。




敵として、出会い。
貴方を殺そうとした、俺を。


貴方は、助けて下さった。僅かに残る、硝煙の中で、初めて俺は人に頭を垂れた。



…御見逸れしました!!!貴方こそボスに相応しい!


困る、なんて言っていた貴方に。
俺は永遠の忠誠を誓う。




それからも、色々有った。
毎日学校に一緒に歩いた。
色々な所へ遊びに行った。
敵と戦った時も有ったし、辛い場面も多々有った。

けれど、十代目は何時でも仲間思いで、強くて…


成長し、十代目に就任してからも。

十代目は、優しく、変わらず何時も傍に居て下さった。





平和だった時は二人、外を歩いたり、買い物へ行ったり…ただ何もせずに居ても、十代目さえ居てくれれば、俺は十分に…幸せ、だった。




冷たく、固くなってしまった頬に指を伸ばす。

輪郭にそって、そっと撫でた。


くすぐったそうに笑う声が、聞こえた気がした。



また、辛さが増して。
俺は瞳を閉じる。







「獄寺君!」
「何ですか?十代目?」
十代目は、照れたようにあはは、と笑って。
「これ、ね…誕生日プレゼントだよ!」

ぱっ、と十代目が出した手の上。
綺麗にラッピングされた箱が乗っていた。

「誕生日…プレゼント?」
「うん!!…獄寺君、何が欲しいか分からなくてさ…でも、頑張って選んだから!」
そうやって言って、十代目は俺の手を取り、その上に箱を乗せる。


「開けてみてよ」
期待を滲ませて十代目は弾んだ声で言う。
「あ、はい!…えーっと」
リボンを解いて、包装を破かないようにそっと開いて行く。
その中には、黒い箱が入っていた。
「…開けて、良いですか?」
と笑えば。
「早く開けなよ?」
とちょっぴり顔を赤くして、口を尖らせる。

そんな様子に、ちょっと笑みを零しつつ、箱を開く。


そこに入っていたのは、細かい装飾のされたシルバーリング。



「指輪…っスか?」
「あ…あのね!いや…その…っ」
自分が渡したのに、真っ赤になって慌てる十代目。

…すみません、とっても可愛いです。
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