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□向日葵と笑顔と夏の終わり。
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夏が終わる。





「学校、行きたくないなぁ…」
「十代目、じゃあサボります?」
「でもそれもなぁ…」
獄寺君の部屋。
机の上に乗っているのはさっきやっと終わった宿題。
獄寺君に教えて貰いながら、何とか終わらせることが出来た。
今の時刻は11時過ぎ。
12時間後にはもう学校も終わって帰ってる頃かも知れない。
「十代目」
獄寺君はにこっと笑って、
「大丈夫っすよ!何か有ったとしても貴方の事は絶対俺がお守りしますから!!」
何て言う。
…きっと明日からも波瀾万丈かな。
「そういえば獄寺君ってさ、学校行くの嫌だったりしないの?」
「あ、俺っすか?…学校自体は面倒だし嫌っすかね」
「そっか」
「でも少しでも十代目と居られるって考えたら、むしろ毎日楽しみです」
「獄寺君…」
獄寺君はいつも俺と居る事が嬉しいと言ってくれる。
それは俺にとってとても嬉しくて、その言葉を聞いただけで、幸せになれた。
俺が獄寺君と居るとき幸せなように、獄寺君も俺と居るとき幸せだって言ってくれるんだから、俺、本当に幸せ者だと思う。
自然に指を絡ませて、瞳を閉じる。
唇が重なって、一瞬が止まる。
この一瞬がこのまま永遠になれば良いのに、一瞬はいつかやっぱり終わる。
唇が離れる。
「十代目…凄い好きです!!大好きです」
獄寺君は幸せそうに笑って、俺に抱き着いてくれる。
「獄寺君…!俺も大好きだよ!」
きゅう、と抱きしめられて、それだけでもう幸せで…
二人だけの時間。
この味も、空気も。
止まる一瞬も。
全部二人だけのものだ。
だれにも分からない、大切な…
指でそっと頬をなぞって、真剣な表情。
いつもの笑顔も好きだけど、たまにこんな真剣な顔を見せてくれるのも大好き。
君の仕草、表情全てが俺だけの物になった気がして、幸せと嬉しさと…そんな感情が俺の胸を支配する。
初めて君と会ったとき、こんなに君を好きになるなんて思わなかった。
君に初めて笑いかけられたとき、こんなにこの笑顔が好きになるなんて思わなかった。
「獄寺君…」
君が好きだ。
君が大好き。
でも、
「行きたく、ない」
学校は嫌だ。
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