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□貴方と、
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窓を開けば、綺麗な晴天。
今日もいい日になればいい。





「十代目、今日も忙しいですけど、頑張りましょう」
「ぅ…ん…」
目の前の貴方は、起きる気配は有れど、起きてはいない。
いつもと変わらない、朝。
「…起きてください、十代目」
ちゅ、と頬にキス。
「…ん…!あっ!!」
ばさ!と勢い良く跳び起きて、貴方は俺を見た。
「おはよ!獄寺君!…ごめん!毎日毎日…!」
「良いんですよ。貴方の寝顔を毎日間近で見られるんですから」
にこ、と笑うと、十代目は何とも言えない微妙な表情を浮かべながら、
「何それ…」
と呟いた。



十代目と俺は、同居を始めてからそろそろ三ヶ月。
だんだん慣れてきて、毎日が幸せだった。
どういういきさつで同居を始めたか、というと。
…あれは、確か今日と同じような綺麗な晴天の下で。
二人で居た時、急に十代目が言ったんだ。
「ね、獄寺君…一緒に、住まない?」
と。
勿論俺はかなり驚いて、行動が停止した。
いや、冗談抜きにしても本当に俺は固まっていた。
「…十代目?」
と言うだけで精一杯だった。
十代目は、にこりと笑って、俺の頬に手を添えて。
「今度から、一人暮らししようかな、と思ったんだけどさ、でもそうこうしてたらどうしても獄寺君と住みたくなっちゃって」
「…本当っ…すか?」
「…嫌?」
「嫌な訳無いじゃないっすか!凄く嬉しいっす!」
喜びを抑え切れずに、十代目に思い切り抱き着いたら、
「此処外だよっ」
と少し怒られて。…でも、二人共笑顔を浮かべていた。





「凄い晴れだね…暑いなぁ」
「確かに日差しがきついっすかね」
歩きながら手を額に当て、空を眺めていた。
行き先はボンゴレの秘密のアジト。
とは言っても、かなりの割合で寄り道しながら。だけど…

今日も寄り道。
今日は急に行きたくなって、商店街をうろうろしていた。
暑かったから、アイスを買って食べたり。
適当な店に入ってCDを聞いてみたり。
最近流行りの店に入ってみて、何も買ってないのに流行に乗ったような気分に浸ってみたり。
取り敢えずふらふらしていたら、獄寺君の携帯電話が鳴る。
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