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□真っ白な砂糖を。
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少しづつ季節が変わってく。
もう少しで梅雨入り?台風はもう予報が入るよね?
制服も上着を着てる人が日に日に減っていく。

…夏が、来るんだぁ…



「暑いなぁ…」
シャツの襟を摘んで手団扇で扇いでみても、やっぱり暑い。
少し前にシャツとベストという恰好にはしたけれど、やっぱり暑い。
「そっスねぇ…」
俺の前の席で、下敷きを団扇代わりにぱたぱた扇いでいる君も、やっぱりうっすら汗をかいていた。
少し前に、君も服を変えていた。
でも、シャツの下にTシャツを着て、しかも上にはカーディガンを来ているんだから、俺にはとても暑そうに見えて仕方なかった。

「獄寺君」
「あ、はい」
呼び掛ければ、一旦扇ぐ手を止め、何ですか?と答えてくれた。
「いや、暑そうだなぁ、ってさ…」
カーディガンの袖をちょっと摘んでみせる。
「あ、これっスか?…何か、カーディガンの方が好きなんスよね」
「まぁ、確かに似合うもん」
そう言いながら返したものの、獄寺君の場合殆どの服をかっこよく着てしまうから、似合うのは殆ど当たり前だったけど。


その日は結局かなり暑いまま放課後になった。
二人で帰りながらグランドを見た。
「暑いのに頑張るね…」
「よく飽きないっすよね」
そんなたわいもない会話をしながら、俺達は歩いていた。

学校の門を出て、商店街をうろうろして。
公園のぶらんこに並んで座った。
「ねぇ」
「何ですか?十代目」
「明日、暇?」
「はい!暇です」
獄寺君の、この期待に満ちたキラキラの瞳が俺は大好きだった。
「じゃあ、明日獄寺君の家に泊まりに行っても良い?」
「大歓迎です」
にこにこ、獄寺君は俺に笑いかけた。
獄寺君は、俺には笑ってくれる。
他の人にはあまり関わろうともしないのに、俺にだけは、正面から向き合ってくれる。

そんなことだけで、幸せ。
そんなことが、俺の幸せ。

「嬉しい!」
えへへ、と笑って、獄寺君の手を引き寄せて指を絡めた。
きゅ、と握れば、獄寺君も握り返してくれた。
此処は運よく人通りが少なかったから、堂々と手を繋いで。
にこにこ笑って。

また明日!って君が見えなくなるまで手を振った。
「さて、と…」
まずは、母さんに許可取らなきゃな…

「母さん」
「何?ツっ君」
「明日獄寺君家に泊まって来ていい?」
「ええ、獄寺君が良いって言うなら良いわよ」
いつも通り、母さんはすぐに良いって言ってくれた。
そのまま晩御飯食べたりした。
それから、着替えとかを鞄に詰めて寝た。
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