*Novel*
□*つながる思い*
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俺の好きな人。
昔は並中のマドンナ、笹川京子ちゃんが好きだった。
でも今は、並盛の秩序、並中風紀委員長の雲雀恭弥さんに恋をしている。
「やっぱり無理かなぁ…」
放課後の誰もいない教室で呟く。
テストの成績が悪かったため補習を受けていたのだ。
補習仲間の山本は今回のテストでは山が当たったらしく、補習を受けなくて済んだらしい。補習監督の先生はプリントを渡して職員室へと行ってしまった。
そんな感じで教室にはツナだけになっていたのだ。
プリントは半分まで終わらせたところでやめた。
先生に提出するらしいから終わらせなければならないが、やる気が起きない。
プリントなんかよりも雲雀さんのことが気になってしかたないよ…。
手に握っていたシャーペンを机の上に置く。
同時に、教室の後方のドアが開いた。
先生かな、と思い振り向くと、
「ひ、雲雀さん……?」
「……………」
そこにいたのはそう、俺が恋い焦がれている、あの人で。
雲雀さんは俺を見て少し驚いたような顔をしたあと、下を向いたかと思えば俺の方へと向かってきた。
「ええぇっ、ちょっ、雲雀さん!?」
「…………綱吉、」
名前で呼ばれた!いつもはフルネームなのに!という感動はさておき。
雲雀さんとの距離、一歩。
雲雀さんは座っている俺の横に立っていて、俺を見下ろしている状態。
逆に言うと俺が見上げている状態。
う、わ………近くでみると益々綺麗だ……
透き通るような白い肌。
男を倒せるような力があるようにはとても見えない。
「な、なんでしょうか…雲雀さん…」
「…キミは、あの女子の事が好きなの?」
"あの女子"とは、京子ちゃんのことだろうか。
「え…と、それは京子ちゃんのこと、ですよね?それだったら…違いますよ」
「そう……」
それだけ言うと雲雀さんはふい、と顔を背けてしまった。
何か俺、まずいこと言っちゃったかな…。
しばらく沈黙が続いたあと、雲雀さんがこっちを振り向き、口を開いた。
「…僕は、………キミが好き」
「……へっ!?」
突然のことに驚いて思わず声が大きくなる。
顔が紅潮していくのが、自分でもわかった。
「…で、キミはどうなの?」
「そ、それは……」
「ハッキリしなよ」
「……………す、好き、です………」
つながる思い
(じゃあ今日から僕たち付き合うからね)(もちろんキミに拒否権なんてないから)
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