灰色ノ夢


□Dreaming・・・<リオナ>
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夢を見た。

世界が平和になる夢を。


果てしなく続く殺し合いに僕は、
いい加減疲れていたのかもしれない。


でも、そんなことも、もう。


「・・・昔の話、ですね」

美しい庭。

降り注ぐ陽光と温かなそよ風に包まれて、
ゆっくりと瞬きした。


終末を迎えた世界は、
しかし平和を得たようで。

家族だけが生きる狭くも広いセカイが、
今の僕らのホームだった。


そんな、漸く完成したはずの僕らの世界には、
大事なピースがかけている。

それは、一人の少女。

神たる身にあり、友の愛する存在であり、
僕の恋人の姉であり。


危険なんて承知の上。

だけど、彼女の不在が、
家族から、友から、恋人から、
笑顔も涙も奪ってきたのだ。

だから、僕らの意志はひとつ。
奪われた、それなら、取り戻す。

そうしたら、どうか。

笑って。泣いて。
思い切り。
僕の大切な人達。

僕の愛しい人。


喪失以来、ホンモノを何一つ
見せなくなった、僕の恋人。

みんなに無理してるのがバレてるって
分かってても、ずっと笑ってた。

だけど、泣かなかった。

大切な人が何人、傷付いても、いなくなっても。


少しずつおかしくなっていた僕らの全て。
元に戻そう、取り戻して。


「行きましょう」

奪い返しに。



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