◆短編小説◆

□月の雫
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ミツバがこの世界から居なくなってもう3日たつ。世間的に言えば3日なんて短いのだろう。だが、俺の心はどんよりした曇り空が動くことなく支配していた。

寝ようとしたのはいいが、なかなか眠れなかった。ふと立ち上がり障子をあける。そこにいたのは紛れもない彼女だった。月を見てるのだろうか。こっちに気付くことなく背を向けている。
ありえない。彼女がいるはずはないのだ。頭でいくら考えても、動悸が治まらなかった。
その時、彼女は振り返った。月明かりに照らされた栗色の髪の毛が証明しているではないか。夢でも何でもいい、もう一度彼女に会いたかった。会って言いたいことがあった。
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