心の中の青いカケラ


□キトン アンド レインボウ
1ページ/1ページ

世の中に疲れて
下を向いて
歩いてた

上を向いたって
儚い夢があるだけで
前を向いた時
奈落の底にいる自分に
気付くだけ
そう思ってた

目の前を
汚れた猫が
歩いてた
上を見たまま
歩いてた

バカだな
上を見たって
そう思ってた

猫が自分みたいで
目で追った

周りを見ない
自分みたいで

猫は 塗り立ての
茶色い屋根に
登った
白い毛が 茶色に
染まった

バカだな
上に行ったって
そう思ってた

猫が一番上まで行くと
視界が開けた
見ようとしなかった空が
そこにあった

猫が見たかったモノが
そこにあった

七色の半円が
希望の光が

新しそうな茶色は
闇に沈んだ
屋根の上の
茶色い猫は
輝いてみえた

やがて
消えていった
しばらく
そのままでいた

いつのまにか
猫に見られてた
ぼーっとしてたのが
恥ずかしくて
微笑んだ
そのコも
返すように
励ますように
ナァと鳴いて
走り去った
元気に向こうへ
行ってしまった

自分は間違ってなかった
上には儚いものしかなかった
自分は間違っていた
消えても平気だった
力をくれた

前を向いて
走ってみることにした

渦巻く町を
泥巻く街を
静か過ぎる住宅街を
にぎやかな商店街を

もう
大丈夫だよ

また会えるだろうか
七色の光に
輝いていた
子猫に

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ