心の中の青いカケラ
□キトン アンド レインボウ
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世の中に疲れて
下を向いて
歩いてた
上を向いたって
儚い夢があるだけで
前を向いた時
奈落の底にいる自分に
気付くだけ
そう思ってた
目の前を
汚れた猫が
歩いてた
上を見たまま
歩いてた
バカだな
上を見たって
そう思ってた
猫が自分みたいで
目で追った
周りを見ない
自分みたいで
猫は 塗り立ての
茶色い屋根に
登った
白い毛が 茶色に
染まった
バカだな
上に行ったって
そう思ってた
猫が一番上まで行くと
視界が開けた
見ようとしなかった空が
そこにあった
猫が見たかったモノが
そこにあった
七色の半円が
希望の光が
新しそうな茶色は
闇に沈んだ
屋根の上の
茶色い猫は
輝いてみえた
やがて
消えていった
しばらく
そのままでいた
いつのまにか
猫に見られてた
ぼーっとしてたのが
恥ずかしくて
微笑んだ
そのコも
返すように
励ますように
ナァと鳴いて
走り去った
元気に向こうへ
行ってしまった
自分は間違ってなかった
上には儚いものしかなかった
自分は間違っていた
消えても平気だった
力をくれた
前を向いて
走ってみることにした
渦巻く町を
泥巻く街を
静か過ぎる住宅街を
にぎやかな商店街を
もう
大丈夫だよ
また会えるだろうか
七色の光に
輝いていた
子猫に