小説

□飛べない鳥F
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「ちょっま…待てって!!」

「なんや?」

ピタッと止まって振り返った侑士の顔にさっきまでの笑顔はなく、少し怒ったような顔で俺を見つめている。

「お、俺は…」


「大丈夫やって、俺が大丈夫言うたら大丈夫なんよ。なんや、それとも岳人…俺の言うこと信じられへんのか?」


どこから、そんな自信が出てくるのか。あきれるほど自信たっぷりの侑士を信じろっていう方が今は難しい。


「ゆう…」


「テニスっ!!………したいんやろ?岳人は。」


目頭が熱くなるのを感じてはいたけど、涙を我慢することは出来なかった。


今日からはウジウジしないって決めたはずなのに。


泣かないって決めたはずなのに。


「…っぇ、うっ…テニスっ、した、いよぉ…っ!!やめっ…たくねぇっ…」



嗚咽混じりの聞き取りにくい言語を発しながら、俺は侑士の背中にしがみついた。
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