小説
□飛べない鳥A
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日々、弱々しくなる岳人を見てると、また抱きしめたい衝動にかられて、俺は意図的に側におることを避けていた。
普段なら、何かにつけて岳人にへばりついていたのに、最近は彼女のとこへ行って他愛もない話に付き合い、右から左へ聞き流すのが日課となってた。
よく考えてみれば、わかることやのにな。
今、岳人がどんな思いか。周りが腫れ物みたいに接する中、いっつも寄ってとった俺が、近寄らなくなれば岳人がどう思いよるかなんて。
せやけど
そん時の俺は自分が大切で、そこまで考えがまわらんかった。
いつもなら、そんなことないのに。
なんなんやろ…この隠せへん感情の起伏は…。