小説

□飛べない鳥@
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傷の手当てをする間の付き添いは、相方やからとかいう理由で侑士だった。
他の連中がいなくなると保健室は静かなもんで、保健の先生が薬品を触るカチャカチャという音しか聞こえない。傷口にしみる消毒液で思わず体が跳ねた。

『全く、向日くんは無茶するわね。』

少し笑いながら先生は、大袈裟に包帯を巻いた。

『うー…なんかすげぇ怪我したみてぇ…』

『そんくらいせな、あかん!!』
久々に口を開いた侑士の顔があまりに真面目で、驚いた。
足を撫でる先生の手が、ふと膝で止まったのは先生も驚いたからだって、勝手に思っていた。
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