小説
□そういうもの
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侑士はモテる。
すっげぇモテる。
『キャーっ!!忍足く〜ん!!』
なんてったって学校歩いてるだけで、この歓声なんだぜ。
隣りで歩いてる俺は、ちんちくりんすぎて。たぶん周囲の目にも入っちゃいねぇ。つか居ないもんとして扱われてる気がする。
けど、そんなモテモテ侑士は
可愛い女の子を一切無視して俺と話す。
「なぁ岳人、今日うちおいでぇや」
しかも俺にメロメロ。
「行く!!」
もちろん俺も侑士が好きだ。
だから何の問題もない。
はずなのに…
なんだろ、この不安感。
そういえば、なんで侑士は
俺を選んだんだろ?
上目づかいで侑士を見上げ、覗き込むように首を傾げると侑士が、ふいっと顔を俺から逸らす。
「侑士?」
「…あかんで岳人」
「なにが?」
「お前の上目づかいは可愛すぎや…、我慢できんくなるわ」
いつもはポーカーフェイスなくせして、エロイとこだけ正直な侑士は可愛い…ていうか。
「変態…てかエロジジィっ」
「なっ、岳人…それちょっと傷つくわぁ…」
俺の腰にまわそうとした手を、ひっこめて自分の髪をかきあげる侑士は、かっこいい。
なんで俺なんだろ。
またそんな疑問が頭に浮かんだ。