11

そのとき賢者は言った、ヘアルフデネの子は。皆の者は黙った。
『聞け、まこと我はこうも言えよう。真と正しさを民に行う者して、
遠い昔よりすべてのことを思い起こす年老いた国守として。
その誉れも高められた、我が友ベーオウルフよ。君の誉れは、あらゆる民の間に。』

ゲータの勇士は心喜び、すぐ赴いた、酒席を求めに、賢王の命ずるままに。
その時も以前のように、勇気で名だたるものに優雅な宴が整えられた。
夜のとばりは暗くなり、黒々と武士たちの上に。
ゲータの勇士も心行くまで、誉れ高き盾の武士は休もうと思った。

やがて黒鴉が天の喜びを告げ、光は急ぎ出た。
武士達は急いだ、貴人たちはまた国人の許へ、心はやりながら、行こうとして。
エッジセーオウの子、ベーオウルフは言った。
『我ら海行く者、はるけくも来つる我らはかく言おう、我ら急ぎヒゲラークを訪れる。
我らはここに手厚く、望みどうりにもてなされた。御身らは我らによく尽くされた。
もし我海原越えて聞くこともあらば、御身を取り囲む者が恐怖でおびやかすと、
我は御身のため槍を取り戦うであろう。』

ロースガールは答えて言った、
『御身の心ばせは我には好ましい、久しく我が心に叶っている、ベーオウルフよ。
我は知る、国の民は、敵も味方も変わることなく事を構えた。如何なる咎めも受けず、昔ながらの方法で。』

王には二つの予感があった、寄る年波の老人には、彼らはこの後相見ることは無いのだと。
その胸の中には心の絆に結ばれた、親しい人への憧れを、
勇士はその血の中に燃え立たせる。

海ゆく船は、錨に乗ってその持ち主を待っていた。



12

ここから後半。怪物たちを倒し、自国へ帰還したベーオウルフ。やがて王となり、国を治めていた彼のもとに、新たな敵が現れる。


−このようにエッジセーオウの子は勇気を示した、
戦いでよく知られていたこの人は、優れた業で。

それでも彼は人間の最大の技を、
神の与え給うた豊かな才能を、戦いでは逞しく守っていた、久しく侮られていた、
ゲータの人々が、彼を優れていると思わなかったので。

あるとき転機が来た、あらゆる侮りに対して、この名高い勇士に。
戦いの衝突の末に、ヒゲラークが倒れ伏し、その子ヘアルドレードをも戦いの剣が、
その翳す盾の下に殺戮した後に、
ベーオウルフは広い領土をその手に収めた。彼は良く治めた、それから五十年の歳月を。
賢い王であった。年老いた国守であったが、やがて一匹の竜が暗い夜になると、その力を伸べ始めた。
それは、高い草地に宝の山を見張っていた。

宝は、そのむかし誰かある人が、貴族の莫大な遺産をそこに隠したものだった。
そして人々はみな死が捕らえた、遠すぎた昔。
唯一人がそこに生き長らえ、喜びもなく年老いて、宝まもる竜となった。

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