9

魔女の城で、ベーオウルフはグレンデルの母と戦う。


そこでは水はもう彼を少しも悩ますことはなく、また屋根のある部屋なので、波の急流も彼には届かない。
火の灯りが見えた、明るい灯が輝いているのが。
そのとき吉き人は地底の魔女を認めた、力強い海の女を。
彼は衝撃を戦刀に与えた、その頭に輪飾り刀は響き渡った。信ずべきは力、その強い手の力。
人はかく成すべし、戦いのとき、長く人に知られる誉れを得ようとすれば。
怒りに触れたとき、勇士は戦いをものともせず、グレンデルの母の肩をとらえた。
凶敵を振り回したので、魔女は床に倒れた。
しかし鬼はすぐに仕返しをした、恐るべき握力で、彼に掴みかかってきた。
魔女は館の客の上に馬乗りになり、己の短剣を引き抜いた。
広刃の光る刀を引き抜いて、己が子の敵を討とうとした。独り子の。
だが編まれた胸当てがあった、それが彼の生命を救った。剣先にも刃にも、その侵入を阻んだ。

そのときエッジセーオウの子は死んでいただろう、
堅固な鎧帷子が、また天の支配者が、戦いの勝利を計らなかったなら。

天の支配者は、容易く正しきことをさだめられた。
戦いの中で、彼は勝利の刃を見た。
それは古伝の巨人作りの剣、刃の強力なものを、武器の誉れを。
それは武器の最上の作。



10

シルディングの勇士は剣を取った、猛く凄まじい輪飾りの剣を。
生命も顧みず恐ろしく打ったので、それは魔女の頭を強く捕らえた。
剣は全てを貫いた、運の尽きた体を。魔は床に倒れた、剣は血に濡れた。
灯は輝いた、光は中にあった。まさに天からきらきらと。
勇士は見た、グレンデルの、まだ生命あるのを。
彼はグレンデルの首を撃ち落した。
戦刀は消え出した。なんとも不思議なことであった。
それがみな、氷さながら溶け出したことは。
霜柱を天父が溶かして、水面の足かせを解き放つときのように
その血は、それほど熱かった。異郷の霊には毒があった。
先に戦いの中で敵の倒れるのを待ち望んだ人は、泳ぎだし、水を抜けて浮き上がった。
渦巻く水はすべて浄められた。

懸命な人々には分かった、ロースガールとともに海上を見ていた人々には、
渦巻く波はみな掻き乱され、海は血に濡れているのが。
そのとき多くの人には思えた、海の狼が彼を滅ぼしたと。

そのとき海人の王は陸へ上がった、心猛く泳ぎながら。
人々は神に感謝した、湖は鎮まった。
殺害の血に染まった雲の下の水は。

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