7

急いでベーオウルフはその部屋へ連れて行かれた、勝利の人は。
もろちもに暁時、武士達は行った。
天の支配者がいつの日か、我に悲報の後、変化をもたらしたもうか見んとして。
シルディングの王ロースガールは言った。
『幸福をたずねたもうな。悲しみはあらた、デーンの民には。
我は知らず、どこへ鬼は、屍を誇る恐るべき輩は帰路を辿ったか。
魔性は争いの酬いをした、御身が昨晩グレンデルを殺したときの。』

エッジセーオウの子ベーオウルフは言った、
『患い給うな、賢人よ。友の讐を討つほうが、誰にとっても良いだろう。あまり嘆くよりは。
我ら誰しもこの世の命の終わりを待たねばならない。
力があれば人は、生命あるうちに名を遂げよ。それこそが貴い武士には最上のことであろう。
起ちませ、国の守り主よ、急いで行こう、グレンデルの縁者の通い路を見に。
御身に我は約束しよう。彼のものを闇に乗じて逃しはせぬ、地の底でも、山の森の中でも。
この日、御身はいかなる憂いにも耐え給え、御身に我が望むままに。』

そのとき老王は神に感謝した、威力ある主に、かの者の語ったことを。
ロースガールのため馬に手綱が着けられた、
髪を編んだ馬に。敵の足跡は、森の径に沿って広く見えていた。



8

グレンデルとその母の住む魔物の沼を訪れたベーオウルフは、
その中へ飛び込み、化け物たちの間をかいくぐって、水魔の城にたどり着く。


やがて突然山の木が、古びた岩の上に懸かっているのを見た、寂しげな木が。
その下の水は、血塗れにかき乱されていた。全てのデーン達には、シルディングの友には、
耐え忍ぶべき悩みがあった。アシュヘレの頭を海岸の岸に見つけたときに。
流れは血で沸き立った、民はそれを見た。角笛は時折歌った、用意の戦歌を。
そのとき兵は見た、海原渡りし海竜の輩あまたが、
奇しき海竜が湖を渡ろうとするのを。また岬の崖に海獣が横たわるのを。
それから朝になるとしばしば見られるのは、患い多き旅を海路越えてゆく海竜と野獣。
それは走り去ってゆく、怒り狂い胸膨れて。
彼らは響きを聞いた、戦いの笛が歌うのを。

ベーオウルフは言った、エッジセーオウの子は。
『今は思い給え、ヘアルフ・デネの名だたる子、賢き君よ。
いま我は旅路を急ぐ。我は死に捕らわれるまで、栄光の業を成し遂げよう。』
せわしく急いで、返事を待とうともしなかった。湧き上がる海は迎えた、死の武士を。

妖怪共は追いかけて来た。とのとき貴人は悟った、身は何かの館にいると。

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