1

導入部。デーン族の過去の栄光と、もう1人のベーオウルフについて語られる。


ああ、我等は去りし日々に
槍のデーンの王者の栄え業を伝え聞いた
如何に勇将たちがその勇気を奮ったか。

幾たびかシルド・シェーヴィングは害敵の群れから、
あまたの部族から酒宴の席を奪い去り、エルーリー達を恐れしめた。

やがてシルドもさだめの時に世を去って、
猛き人も天主の守りの下に入った。
その時、親しい伴人たちは、彼自らの願ったように、
この人を海を流れへと運んだ。

またやがて、シルディング族のベーオウルフ、
シルドの子、愛せらる民の王のもとに、
高貴のヘアルフ・デネが生まれた。
その生涯は年老いるまで戦いに猛く、輝かしいままに治めていた。
この人に数えれば4人の子が生まれた。
大軍の主としてヘオロガールとロースガールと心優しいハルガと。
ヘアゾシルヴィングの愛妃とが。



2

物語の舞台となるヘオロットの館が建造されるに至った経緯と、グレンデルの出自について語られている。


その時ロースガールに戦の功が恵まれた、戦の誉れが。
それで友も身内もこの人に快く耳を傾け、若者たちはやがて大部隊となった。
この若子は心で館を、酒宴の殿堂を人に造らせようと思い立った。
人の子たちが、いつの日にも聞き及ばなかったほどのものをと。

時が来ると、すばやく人々の間で最大の会堂が出来上がることとなった。
かの館にヘオロットの名を付けたのは、言葉の力を世に広く振るった人である。
そのとき勇み立つ闇に潜む霊は、
嘆きながら苦悩を凌いでいた。
日々に喜びの声が、館に響き渡るのを聞いて。

その猛々しい霊きはグレンデルと呼ばれ、名だたる荒地の流浪者で、
沼地を我が物とし、沼地と砦とを怪物たちの住処としていた。
この幸なき輩は暫く占拠していた、
創造者がカインの一族に、その者の罪を問われたのちに。
殺害の処罰を、永遠の主はアベル殺しのゆえに成された。
主はその争いを喜びはしなかったので、
彼を、その罪にために、遠く人から追われたのだった。

その時から、怪物たちはみな目覚めた。
巨霊も、妖精も、また悪鬼たちも。
久しい間、神と争ってきた。
巨人族も。主は彼らに酬いをなされた。

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