□冥姫 第五十話
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沖田さんの雰囲気が変わった。


操ると言っても
体を乗っ取られたか、自我を侵食されたかは今の段階では分からない。


でも自我だと厄介だな。

取り敢えず、まずは剣を手放させてみるか。

剣も針も食われるとなると体術しかない。


「総悟!…遅かったか」


土方さんが現れた。

たぶん気付いたんだろう
あの剣がどういうモノか。


「近藤さん、あいつはもう総悟じゃねえ、捕まえるぞ。
テメー等もボケッとしてないで手伝え!」


半信半疑ながら私以外の隊士の皆さんは、沖田さんに刀の切っ先を向ける。


「土方さんやめてください!」

「止めるな、あいつは総悟じゃねえ、あの剣が本体だ」

「そうじゃないんです、そいつは剣を食べ───」


私が言い終わる前に沖田さんがマガナギを一振りした。


皆が向けていた刀の刃が、ちぎり取られたようになる。


皆 驚いていた。


マガナギの意識は真選組に向いている、このままだと真選組が危ないかも。


「よそ見たぁ余裕じゃねーか
お前の相手が誰だかもう忘れたのか」


坂田さんがマガナギの意識を自分に向けさせた。


さらに手出し無用と言ったけど
坂田さんの刀はクサナギさんで脇差(わきざし)程の長さしかない。


普通に考えれば不利なのは目に見えている。


それでも決闘は再開。


沖田さんの攻撃を坂田さんは全て避けている。

いつもの沖田さんとは動きが全然違う、一言で表すなら
弱くなった。

どうやらマガナギは沖田さんの体にまだ慣れていないらしい。


坂田さんの刀が沖田さんを捉え振り下ろされた。


刀は沖田さんに直撃したんだけど
刃の部分が紙で作ったかのようにプランと倒れている。


クサナギさんの限界がきたそうだ。


それを好機とマガナギが反撃に出る。


!さっきとは動きが違う、しかもどんどん強くなっていく。


マガナギ曰く、食べてきた者達の経験即戦術パターンが全て保存されている。


その証拠のように坂田さんがだんだん押されだした。


しかしその刹那、二人の間に割り入ったモノがいた。


「二人ともやめて」


鞘のサーヤさんだ。


クサナギさんのマガナギのことを忘れたのかという叫びもどこ吹く風、総君さえ無事ならそれでいい、そう言った。


そんなサーヤさんを沖田さんは容赦なく弾き飛ばす。


そのあとマガナギが語った衝撃の真実

サーヤさんは鞘子さんとクサナギさんの娘、鞘子さんは女手一つでサーヤさんを育てたがマガナギに殺されていた。

一目でいいからクサナギさんに娘の姿を…、そう言って殺された


「マガナギィィィ!き、貴様ァァァァァァァ!!」


これ以上ない激怒がクサナギさんの刃を硬質に変える。

 
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