□冥姫 第五十話
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局中法度ってなんのためにあるのか、少し話し合ったほうがいいかな。


そんなことを考えながら沖田さんに聞くことがあったので話し掛ける。


「沖田さんエクスカリバーってなんですか」

「旦那のケツに刺さってた刀と俺の鞘はエクスカリバー星の天人だ」

「そうだったんですか」


じっと鞘を見つめていたら睫毛(まつげ)の長い目玉が一つ現れた。


「ねえ総君、この女誰ぇ?」


目が喋った!?


「私は沖田さんの同僚で美月といいます」

「ふぅん、私はサーヤ。
同僚だかなんだか知らないけど
総君に色目使ったりしないでよね!」


言うだけ言ってサーヤさんは消えた。

鞘子さんだよね?サーヤは愛称かな。


「仲がいいんですね」


率直な感想。


「もしかして妬いた?」

「鞘には妬かないですね」


例え、相手が沖田さんじゃなくて土方さんだったとしても、鞘には嫉妬しない。


………………………………ん?

なんで土方さん?


「美月ちゃん?」

「は、はい」


疑問に夢中になりかけていた
顔には出てなかったと思うけど。


「中に入りやしょう」

「はい」


その日の夜、外に出ていく沖田さんの背中を見かけた。





翌日 真選組勢はすでに場所に到着して坂田さんを待っていた。


やってきた坂田さん
まず坂田さんが背負っているやたら大きい剣に物言い、
明らかに昨日お尻に刺さっていた刀ではない。

でも他でもない沖田さんが許可した。


「実は俺も獲物を変えたんでねェ
なァ千兵衛さんよ」


「だから千兵衛じゃなくて魔剣マガナギですよ〜」


沖田さんの持っている刃が、黒い剣が喋った。

たぶんあの剣もエクスカリバー星の剣なんだろう。


それよりもあの剣…人斬り千兵衛の剣なんじゃ……。

千兵衛は昨夜遅くに額に傷を負った状態で発見され、今は病院にいる。

土方さんはそっちに行っているのでここにはいない。


それにしてもマガナギと言ったあの剣、気配が呪刀に似ている。


沖田さん大丈夫かな、見たかぎり変わりないみたいだけど。


マガナギを見たクサナギさんは凄く驚いていた。


マガナギがクサナギさんに語る。

知り合いみたい。


そんなことは関係ないとばかりに二人の決闘が始まる。

坂田さんが背負っていた大剣は鞘だったようでいつもの木刀が出てきた。


しばらくは戯れ合いのような攻防だったが、自然と真剣勝負になっていく。


辺りに響くのは刀がぶつかり合う音。

まさに互角。


続く斬り合いは突如として終わりを告げた、

坂田さんの木刀、剣なら刃の部分が忽然と消えたのだ。


「消えてないさ
お前の剣は俺の腹の中に入っただけさ
そしてこの男も」


マガナギの声。


今の言葉を聞いて合点がいった、
刀身がちぎり取られたような刀はマガナギに食われていたんだ。


刀を食らい、持つ者を操る、喋る呪い刀。

 
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