□冥姫 第四十九話
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「また目いっぱい構ってモード、
俺はもう話聞くのこりごりですぜ」

「私も遠慮します」


今は愚痴に付き合っている場合ではない。


「さっさと用件だけ伝えて、仕事に戻ろうぜ」


土方さんの話しを聞いて近藤さんは驚愕しているようだった。



早々に布団から出た近藤さんも指揮に加わり捜索隊が編成された。


まずは土方さんから説明。


「毘夷夢星(びいむせい)の奴らは“火種屋”といわれる戦争を手引きしていた組織と縁が深い
表向きは法案を理由にしているが、本当の目的は戦争を起こすことだ

テロリスト共(火種屋)については別の警察組織がすでに動いている
俺達は奴らが送り込んだ星間波動ビーム砲を探し出す
それらしい奴は全員しょっぴけ
俺が許す」


土方さんが責任を取るとも取らないとも取れる発言。


「それらしい奴って具体的にはどんな奴ですか?」


片手をあげて沖田さんが質問した。


「………………ビームを出しそうな奴だ」


たとえるならヒントまったくなしで暗号を解くようなものだからね。


「ビームを……出しそうな奴?」


近藤さんがポツリと言った言葉は静まり返った空間に響き、視線が近藤さんに集中した。


心当たりがある、と顔に書いてあるのが見て取れる。


「心当たりがあるのか」

「……………まさか……いや……しかし」


「よう、税金ドロボー」


前触れなく急に声が聞こえた、
声のした方を一斉に向く。


そこには坂田さんがいた。

なぜ坂田さんがここに?


「テメーらが探してるビーム砲は新八の家にいる尾美一の体内に組み込まれている」

「なんだと!?」


体内にビーム砲が!?


「万事屋……お前……」


近藤さんは複雑そうな顔をしながら呟いた、たぶん心当たりが的中したんだろう。


「道場だな!行くぞ!」

「待て!!」


土方さんの指示に従い、駆け出そうとした私達は坂田さんの大きな声で止まる。


坂田さんはその場で正座をすると両手を付いて頭を地面にこすりつけた。


「頼む!待ってくれ!
尾美一は新八達にとって兄貴みたいな存在なんだ!
俺がなんとかして生きたまま捕まえるから、それまで手を出さずに待ってくれ!頼む!」


あの坂田さんが土下座までして必死に頼み込んでいる。

伺うために見た土方さんは変わり無い様子で坂田さんを見据えている。


「ダメだ、事が重大すぎる」

「…ま、待ってくれトシ!
俺からも頼む、待ってくれ!」

「はあ?近藤さんあんた事の重大さが分かってるのか!?」


近藤さんの言い分も土方さんの言い分も分かるので私たちは動けずにいた。

 
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