手加減しながら立ちふさがろうとする役人を倒していく。
一言で言えば、乱戦状態。
暫く戦っていたら役人が血相を変えて駆け込んできた。
「たっ…大変です!
北門 南門よりクーデターの軍勢が!」
どうやら完了したようだ、召集が。
集まったのは警察機構全軍。
道を開け、迎え入れるは白馬に乗り刀を差した現将軍茂々様。
役人達は仰天した。
そして将軍様の「武器を捨てよ」で役人達は投降し、乱闘は終った。
将軍様は馬から降りると新八君に背負われている六転さんに頭を下げる
今まで六転さんの苦しみに気がつかなかったことを謝罪して、今からでも約束の刻に間に合うか、と問う。
あとで月詠さんに太夫さんの名前を教えてもらおう。
強く思った。
続けて将軍様は六転さんのことをそよ姫様に頼むと定々と話しをつけると告げた。
後ろには私達 真選組が控える。
もう定々に逃げ場はない。
しかし憎まれ者というのは往生際が悪いのが定石。
天守閣に空飛ぶ船が近づく、あれに乗って逃げる気だ!
絶対逃がさない、その思いを胸に私たちは走りだす。
城の近くまできたとき天守閣に横付けしていた船が爆発した。
予想外の展開に足が止まり見上げる。
「ま、まさかあいつ」
「…坂田さん」
止まった足は新たな船団の出現により再び動きだす。
大きな船を守るように囲む船団
この状態の定々の元にくるのは天導衆以外 考えられない。
天守閣に到着したとき定々は天導衆に保護されようとしていた。
しかも定々の処遇を我らに任せろと宣(のたま)っている。
将軍様の手に制され、真選組も見廻組も止まる。
将軍様は一人 前にでて行く。
「わざわざご足労頂いたがこれは我々の国で起きたこと
我々で処するが筋というもの」
「これはこれは将軍殿、ご無事で何より
貴殿の話しはわかった
しかしこれは貴殿を思っての提案なのだが心優しき貴殿が主君に剣を向けたとはいえ愛する家臣を処断できると?」
つまり坂田さん達を処断したくなければ定々を渡せ。
定々を処断したいなら坂田さん達も処断しろってところかな。
天導衆を皆殺しにしたらこの国はどう変わるだろう。
…天導衆の後釜を狙う奴らが群がるだろうな、そいつらで潰し合えばいい。
将軍様は臆すことなく坂田さん達に罪はなく裁く必要がないこと、
罪も咎も彼らの主君たりなかった将軍家にあり、定々を止められなかった自分にあると、
それらを理由に征夷大将軍を辞する書をもって坂田さん達を裁かず、定々を置き去りにさせて天導衆を退けた。
将軍様が自分のクビと引き換えただけあって定々以外が罰せられることはなかった。