□冥姫 第四十四話
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事情を聞いてみると夜の街の勢力図を簡単に変えてしまう“マダム”と呼ばれる遊び人の貴婦人は、一度きた店には二度とこないはずなのに先週きて、今日もくると言って帰っていった。

つまりマダムは災厄をもたらしにくる。

マダムの再来に恐れを抱いた他のホストは全員休んでしまい、人出が足りないということだった。

粗相(そそう)があったのかもしれないとも言ってたけど。


「マダムがどんな人かは知りません
でも気にくわない店にわざわざ来たりしますか?」


普通は二度と来ないとなるはず。


「なにぶん相手がマダムでは測りかねます」


協力を渋っても局長命令が出てしまっては従うしかない。


土方さんと沖田さんはホスト、私は裏方になった。


さっそくホストスーツに着替えた二人はいつもと違って見えた。


「似合いますね」

「どうでェ美月ちゃん
今夜は俺を指名しなせェ、忘れられない夜にしてやる」


土方さんがスッと間に入ってきた。


「俺にしとけよ、退屈はさせねェぜ」


二人はホストになりきっている。


「本物のホストみたいですね
でも練習はこのくらいにして本番に望みましょう、
私も着替えてきますね」


言って更衣室に向かう。


「つれなさすぎじゃねェかィ」

「お前もう少し何かあってもいいだろ」


向かう途中で二人が何かを言っていたが聞こえなかった。

とにかく私も本番に向けて頑張ろう。


あとは時間になったら店を貸し切りにしてマダムを迎えるだけとなったところで次々団体さんがやって来た

歌舞伎町四天王の一人、西郷さん率いるオカマさん達。


次に来た女性の団体さんの内の一人に坂田さんは机が吹っ飛ぶほど投げられた。

あの装束は吉原の自警団、百華。

投げた女性は頭と呼ばれている、つまりあの人が死神太夫
月詠さんか。

すでにお酒を飲んでいる。


あっちは柳生の九兵衛さんだ
門下生に女装をさせてやってきたというのが聞こえた。


…一人、目隠しして縛られ吊されている女性がいる。

確かあの人は…さっちゃんさん。


お妙さんが気をきかせて呼んだと言っていたけど、人脈 凄いな。


人数が人数なだけに注文が殺到で土方さんと新八君はオーダーで手いっぱい。


私のほうも問題発生

ズラリと並んだお酒はどれがどれやら分からない。


私が悩んでる間、ホールがかなり騒がしかったけど少しして急に音が止んだ。

音はともかく お酒のことが聞きたいのでホールに行こう。

 
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