「なんで土方組は俺一人で、居残り決定してんの?」
「一人ではムリがありますよ
焼け石に水程度でしょうが私も残ります」
「美月ちゃん、土方さんの力を見くびっちゃいけねえや」
見くびってるつもりはないけど、いくらなんでもムチャが過ぎる。
「折角だし近藤さんも美月ちゃんも行きましょうよ
誰だって休養は必要です」
ミカンの皮を剥こうとしていた近藤さんは沖田さんの意見を聞いて手を止め、難色を示す。
「しかしなァ……」
パァンという銃声と供に近藤さんが撃たれた!
「こっ近藤さんんん!!」
「大丈夫ですか!?」
撃ったのは今回の休養を提案した松平様。
松平様の銃に打ち抜かれたのは近藤さんではなく、近藤さんが手に持っていたミカンだった。
「休養する気がないならここで永眠しろ
牙を休めることも知らん獣に明日はねェ」
「とっ…とっつぁん!」
「近藤、お前は群れを率いるゴリラだ
お前の判断で群れは動く
明日ある眠りか、明日のない眠りか、頭ぶちぬかれたくなかったら今選べ 3秒待ってやる
1───」
ドン
1で躊躇なく撃った。
「2と3は!?」
「そんな数字しらねェな」
口を挟む余裕がないから黙って見てたけど
ほぼギャングのやり口だ。
「むさ苦しい中での一粒の清涼剤、宮中は行くよな?」
「土方さんを一人で残すことは出来ないので残ります」
「だ、そうだトシ
休むのか死ぬのかハキハキとハッキリしろ」
銃口が土方さんに向けられる。
「近藤さんが抜けた穴をうめねーといけねー、俺は残る」
銃が発砲されたけど、土方さんはあっさり避けた。
「ダメだ、全員休め」
「なんでそこまで休ませてーんだ」
銃口が土方さんの額にグリグリと押しつけられる。
「おじさんはお前たちをいたわりたいだけだ
それだけで他意はねーっつってんだろ」
「とてもいたわりたいと言ってる奴の行動とは思えないんだが」
どう見ても脅迫しているようにしか見えない。
「よし、全員参加決定だな」
「やった、とっつぁんもいいとこあるじゃねーか」
選択権は最初からなかったらしい
でも警備とかどうするんだろう。
「よーし、さっさと支度しろ」
え?今から行くの?
「警備のことは俺に任せて羽をのばしてこい
あと俺の知り合いが旅行についていきたいって言ってるから、適当に面倒みてやってくれ」
大急ぎで防寒をして旅行に出かけた。