□冥姫 第四十二話
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「生前の姿とは違いますけど、親父さんであることに変わりないです」

「い、いいか お前らヘタすんじゃねーぞ
何されるか分かったもんじゃねェからな」


すっかり疑心暗鬼な土方さん
祟り殺されるという考えに行き着いた人らしい発言だな。


二人と話している間にお焼香が回ってきた、
お焼香のやり方を忘れているらしい二人は


「お前が先に行け!」

「ふざけんなお前が行け!」


順番を譲り合う。


そんな二人を余所(よそ)にまず行ったのは新八君

神楽ちゃんにお手本を見せるためトップバッターをかって出た。


坂田さんがまた軽く騒いでたけど私の意識は親父さんに向いていた。

姿を視ようと思えば見えて、声を聴こうと思えば聞こえる私

親父さんが話しかけてきた。

分かりましたの意を表すため、親父さんを見て軽く頷く。


「ねっ、簡単でしょ」


声に気がつき見ると、新八君はお焼香をすませ戻ってきていた。


順番を譲り合っていた人たちが新八君を誉める。


次にお焼香に行くのは神楽ちゃん

新八君のお手本を見たなら大丈夫だろうと思った私が間違っていた。

…どう解釈したらこうなるのか、という間違いっぷり。


次に行くと言ったのは沖田さん。


「大丈夫か!?ホントに大丈夫か!?信じていいのか!?」

「大丈夫、大丈夫」


土方さんの必死の問い掛けに軽い返事を返した。


そして………わざと間違えてる?
ってくらいお焼香のやり方が違いすぎる。


「オイィィィ親父の怒りが許容範囲を越えたよ!!」


親父さんの機嫌を直そうと二人は必死にフロートチャートを作成する。


そんな二人を見兼ねたのか、近藤さんが立ち上がった。


「まったく、こんなメチャクチャな葬儀じゃ親っさんに失礼だ
俺が責任とって全て立て直そう」


さすが近藤さん。


「俺は葬式には行きなれているからな
焼香なんざ目を閉じてもできる
まあ、見とけ」


近藤さんはそう言った、確かにそう言った

にも関わらず、近藤さんもわざと間違えてる?としか思えない行動をした。


帰ってからお焼香のやり方について、ちょっと色々話し合おう。

そんなことを考えているうちに親父さんの髪が怒髪天を突く。

 
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