□冥姫 第三十八話
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狭い裏道を通っていたら突然 神山さんの喉元に木刀が突き付けられた。


「誰っスか…」

「騒いだりすんなよ
内密に極秘捜査してたのが露見するぜ
六角事件の生き残りの神山さんよ」


木刀、それに今の声
一人しか思い当たらない。


脇道から出てきたのは やっぱり坂田さんだった、
傍らには新八君もいる。


「沖田(やろう)が何を隠してんのか、お前らが六角事件で何をやったのか
ちょいと聞かせてもらおうか」



‐‐‐



場所を変えて話すということになり、誰にも聞かれないために四人でパトカーに乗った頃 辺りは暗くなっていた。


発車から少しして神山さんが話し始める。


「あの六角事件の日
敵の屍の中 男が一人震えてるのを発見したんです

ただ震えるだけだったんで六角屋の店の者だと思い、もう大丈夫だと声をかけたんス

そしたら振り向きざまにドスで襲いかかってきて
………気がついたら
六角屋が血に染まり床に倒れていたっス。

隊長はあの娘の父親を殺してない
殺したのは自分なんス」

「そうだったんですか…」


仕方ないとは言え やるせない…。


「その後 隊長から聞いた話によると

六角屋は女房子供を人質にとられ強制的に創界党に協力させられていた
宿を隠れ家、蔵の金を資金として使われていたようっス
女房子供はその事実はしらない

六角屋は家族の安寧(あんねい)を護るため苦しみながら一人戦っていたっス」


「隊長はもうこんなに血で汚れちまったんだからこれ以上 汚れる必要はない
父親のままいかせてやれ
事実を誰にも言うな、と」


それで霧江さんを万事屋さんに預けたのか。


隊長は何も悪くないと言いながら神山さんは涙を流し
罪を着せられ 命を狙われ 人殺し呼ばわりされても六角屋が護ったモンを護り通そうとしている

と沖田さんの胸中を語る。


「あとこれは調べて分かったことなんですが隊長を狙ってたあの娘、あの娘は創界党の残党に利用されてんス

黒幕は天堂蒼達(てんどうそうたつ)
六角屋で死んだ創界党 主魁(しゅかい)紅達(こうたつ)の弟

奴は兄と創界党を壊滅させた真選組を潰すつもりです」


私が目撃したとき捜査はほとんど終わっていたらしい。


新八君が早く近藤さん達に知らせた方がいいと助言するも、隊内にバラしたら殺すと釘を刺されてるからできないそうだ。

 
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