□冥姫 第三十八話
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創界党は江戸に火を放ち、混乱に乗じて将軍暗殺を企てていた。

この計画を実行直前につきとめた真選組は潜伏先の六角屋を強襲し
未然にくいとめる。


死者は合わせて36名
創界党は全滅
真選組は死者三名。


読んだ資料を沖田さんに渡すと沖田さんも資料を読み始める。


「ご苦労様です沖田隊長!
あ、美月ちゃんも一緒でしたか!」

「こんにちは神山さん」


この人は神山(かみやま)さん

厚底レンズのメガネに体育会系の喋り方が特徴的な一番隊の隊士さんだ。


「さっき見回りから帰ってきたばかりなのに資料室で勉強とは さすがっス隊長!
まさに文武両道!
自分は一生隊長に付いて―――」

「来なくていいから今すぐUターンして帰れ
一生 帰ってこなくていいから」


辛辣(しんらつ)だなぁ。


「六角事件ですか!懐かしいですね!
自分が沖田隊長にホレたのは何を隠そう あの時でありました」

「隠してくれよ 頼むから
美月ちゃんが誤解したらどーしてくれんだ

ついでに神隠しにあってくれよ」

「大丈夫ですよ、誤解してませんから」


男性にホレられる男性って凄いと思う

だって強さや、心意気や、生きざまにホレたってことだからね。


「あの事件で最後に残ったのは隊長と自分!」


そーなんだ。


「背中を預け合い、くぐり抜けた激戦で自分は隊長と運命共同体と呼べる存在と認識するようになりました!」

「お前に背中預けるくらいならロッカーに預けるわ」


ロッカー…。


なぜ今頃 六角事件を調べるのかという神山さんの問いに沖田さんは霧江さんに刺されたと答えた。


……そのあとの神山さんの話しを私は聞いたけど聞いてないことにしよう。


「私…見回りの途中でしたので見回りに戻りますね」


そそくさと資料室から出て見回りに戻った。



‐‐‐



あれ?神山さんだ。

見回りしてたら神山さんが裏通りに入っていくのを目撃した。


さっきの今で六角事件の関係者がコソコソ

それを目撃

時刻は見回り終了の夕方。


することと言ったら一つしかないよね。


跡をつけ、頃合(ころあ)いを見計らってポンと肩を叩くと神山さんが振り返り 私を見て驚く。


「お一人で何か調べものですか?」


微笑んだ。

その瞬間 神山さんの諦めたような空気を感じた。


「沖田隊長から聞いたっス!
美月ちゃんも今回のことには一枚噛んでるそうですね!」

「はい、偶然の成り行き上で」

「自分は内密で捜査してたっス」



神山さんと二人で裏通りを歩く。


乗り掛かった船なので、無理を言って極秘捜査の仲間に入れてもらった。

 
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