□冥姫 第三十七話
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苛立ちつつも俺は再び写真を見直す、
さっきの確認中なんとなく違和感のようなものを感じたからだ。


そして あることに気がついた。


こっちの写真は正面から撮っているのに この写真は斜め後ろから撮っている

これは斜め前から

これは横から。

正面の写真に比べ、斜めや横から撮った写真のほうが遥かに多い。


このアングル…

盗撮っぽくね?


斜めや横撮りは どう見ても本人の了承を得ているようには見えない。


今、後ろめたさの正体が解った

盗撮写真を見ているからだ。


な、に、撮ってんだ!


怒りつつも脱力したのはこれが初めてだ。


「はぁー」


ため息が勝手に漏れた。


トッシーと恋の話しなどしたことはないが
お前も宮中のことが好きだったんだな…。


…だからって盗撮はマズイだろ、
写真の中に数枚あったツーショット写真に写るトッシーを眺めながら思った。


しかし…だ、
この写真はどうすればいいんだ?


もちろん捨てるという選択肢は除外したので入ってない。


被写体に渡すのが一般的なのは解っている、解っているが

一度にこんな大量の隠し撮り写真を渡したら、気持ち悪がられないか?

仮に差出人不明でこんな写真が送られてきたら気持ち悪いを通り越して怖いだろ。


なら このままずっと隠し持っておくか?

もし偶然が重なって宮中の目に触れるようなことがあったら

『こんな写真を隠し持ってたなんて…、
暫らく私に話しかけないでください!』

と、なって

『美月ちゃん 土方さんは変質者だから近づかないほうがいいぜ』

『そーそー、ああいう奴に限って むっつりだったりするんだよ』


総悟と万事屋がニタリと笑う。


ハッとしてシュミレーションを停止した。


本当にそうなりそうでイライラして腹が立ってくる。


…いかん!落ち着け俺!

腹を立てたところで何も解決しないだろ。


冷静さを取り戻していく内に思考も落ち着いてきたせいか答えが浮かんだ。


これを撮ったのはトッシーであって俺ではない

宮中は俺とトッシーが別人格だったのを教えたから知っている。


明日にでも どうするか本人に聞けばいいか。

まっ、返せって言われるのが関の山だな

ちょっと惜しい気もするが…。



翌朝

会議の後 自室に宮中を呼んだ。

 
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