□冥姫 第三十七話
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「ん?」


文机の引き出しの奥から見なれないB6サイズの封筒を見つけた。

まるで隠していると言わんばかりに奥の奥に置いてあった。


俺は封筒を隠して そのまま忘れていたのか?

それとも偶然 奥の方にまぎれてしまっただけか?


普通ならこう考えるだろう。


だがこの封筒は俺が隠していた物じゃないと断言できる、
なぜなら簡素な茶色の封筒にアニメのキャラクターと思われるシールやらステッカーがぺたぺた貼ってあるからだ。


俺の知るかぎり、こんなことをするのは一人しかいない


そう、トッシーだ!!


つまりこれはトッシーの忘れ物か贈り物ということになる。


とりあえず中を確認するため茶封筒を引っ繰り返し、中の物をすべてぶちまけた。


バサバサと音をたて 出てきたのは大量の写真だった

一番上にあった写真を手に取り眺めるように見つめる。


「…宮中?」


写真に写っていたのは宮中だった。


一枚目を置いて二枚目を手に取る。


「これも宮中」


机上(きじょう)にぶちまけて散らばった写真をざっと見渡す。

これも、こっちも、それも、全部 宮中の写真だ。


一応確認のため全ての写真に目を通すことにした。

けっして見たいからではなく、あくまで確認のためだ。


そう思っているのに頭の片隅では“言い訳めいた理由だ”という言葉が浮かび消えない。

それだから この後ろめたさも消えないのか?


ただ宮中の写真を見ているだけなのに本当に見ていいのだろうか的な迷いや戸惑いが混じってるような
この感覚はなんだ?



‐‐‐



後ろめたさを抱(かか)えつつも確認は終わった。


予想した通り全部 余すとこなく宮中の写真だった。


しかし毎日 宮中を見ているが見たことない表情というのは有るもんだな。

一瞬の隙を突いて撮ったような 横顔や表情。


特にこの横顔の写真を見たときは思わず手が止まった。

微笑んでいない いつもの表情でどこかを見ているような見ていないような、憂いを帯びているような、いないような、ぼんやりしているような、いないような、
遠くを見つめるような

不思議な瞳。


それは少女の中に女性を感じさせる一枚だった。


俺はこんな宮中を見たことはない。

俺より先にトッシーがこの表情を見て写真に撮ったことに軽く苛立つ。

 
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