□冥姫 第三十一話
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「美月さんよかったら うちにきませんか?」


食事中に新八君が言った。


「新八君の家に?」

「姉上に話したら銀さんちは狭いだろうから うちにこないかって、空き部屋なら沢山あるんで」

「迷惑じゃない?」

「美月さんがきてくれないと僕が姉上に殴られます」


それぐらいで殴ったりはしないだろうが。


「じゃあ お言葉に甘えさせてもらうね」





「神楽ァ定春、忘れもんないな」

「ないアル」

「ワン」

「よーし新八の家にいくぞ」


みんなで新八君の家に泊まりに行くことになった。


新八君の家にいく前に必要な日用品や着替えを購入して歩いていたら、隊士さんたちがいるのが見えたので定春の影に隠れてやり過ごした。


そうこうして新八君の家に無事到着。

案内された部屋に荷物を置いて居間に集合するとお妙さんがいた。

その場に座り頭を下げる。


「お言葉に甘えてきてしまいました、
ご迷惑をおかけすると思いますが 暫らくの間よろしくお願い致します」

「そんな他人行儀な挨拶はやめてちょうだい
友達が困ってるのに知らないふりするほど薄情じゃないわよ」

「さあさあ挨拶はそれくらいにして、お茶がはいりましたよ」


笑顔の近藤さんが人数分のお茶をお盆に乗せて立っていた。


「てめー!なに我が物顔で茶ァ淹れてんだァァァー!!」


お妙さんのパンチで近藤さんは飛ばされた。


「違うんですよ!俺は美月ちゃんに話しが…」


私?


「機嫌直して帰っておいでよ、
ケーキなら俺が買ってあげるからさ」

「暫らくは帰りません
フォローの人がくる前に帰って仕事してください

あとこれをフォローの人に渡してくれますか」


封筒を近藤さんに渡した。


「分かった、これは責任もってトシに渡そう」


近藤さんは屯所に帰っていった。





今 屯所は宮中の話題でもちきりだ。


「美月ちゃんが家出!?なんで?」

「原因は副長らしいぜ」

「沖田隊長がスピーカーでふれまわってた内容によると
美月ちゃんが買ってきたケーキ弾き飛ばしてダメにしたんだって」

「しかもそのケーキが今 話題の二時間待ちは当たり前のあの店のだったって話だぜ」

「副長その前も美月ちゃんが並んで買ったお菓子にマヨネーズかけてダメにしてなかったか?」

「してたな」

「そりゃ怒るだろ」


などなど。


イライラしながら仕事をやっていたら近藤さんが部屋にきた。


「トシ」

「なんだ」

「これ、美月ちゃんがトシに渡してほしいって」


業務用の封筒を受け取り 中の物を取り出す

手紙かと思ったが出てきたのは四つ折りに折られた俺のタスポだった…。

 
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