□冥姫 第三十一話
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早くしてください。







美月と神楽が寝ている和室に忍び寄る影が一つ。

影が和室の襖をそろりと開けると定春の巨体が目に入った。


「邪魔だ、定春どけ」


影の正体は昨晩 神楽と定春に和室から追い出された銀時であった。


「美月ちゃんの寝顔が見れねーだろ」


定春は寝呆けて銀時の頭に噛みついた。





目を開けると見覚えのない天井、
もとい坂田さんちの天井。


上半身を起こして伸びた。


「ん〜〜〜はぁ‥」


左隣にはまだ寝ている神楽ちゃん

その左には定春
口から人間の首から下が生えている。

……急いで定春に声をかけた。


「定春 口開けて!!
アーンしてアーン!」


定春は寝ているけど口をパカッと開けた。


「坂田さん大丈夫ですか!?」

「…花畑が…見え…るっ…!」


ガクリと気を失った。


それは見えてはいけない花畑に違いない!


「坂田さん!?坂田さん!?
しっかりしてください!」


心音、脈を調べた結果
普通の気絶と判明、安心した。


落ち着きを取り戻し時間を確認すると九時だった。

屯所なら完璧遅刻だ、
きっと土方さ‥ぴじ方さん……

……もういっか、人が嫌がることを言うのは好きじゃないし。

とにかく屯所なら土方さんが起こしにくる。

にしても寝すぎた
少し反省してから着替えよう。



「おはようございまーす」


着替え終えたところで新八君が来た。


「ワゥ」


定春は新八君の声で起きてあくびをした。


「おはよう新八君」

「美月さんおはようございます
二人はまだ寝てますか」

「うん まだ寝てる」

「はいはい二人とも起きてください、朝ですよ」

「なんだよ新八
あたいは眠いんだよ」

「神楽ちゃん寝呆けてないで起きて!美月さんはもう起きてるよ」


神楽ちゃんがパッと起きて右隣を見る。


「…なんで銀ちゃんここにいて美月ちゃんの布団で寝てるアルか?」


私が布団に寝かせた。


「神楽ちゃんおはよう」

「おはよう美月ちゃん
待っててネ
すぐ着替えてくるヨ!」


神楽ちゃんは走って部屋に戻っていった。


「銀さん!起きてください!」


新八君 お母さんみたい。


「う〜…、はっっ!」


坂田さんが急に起きて辺りを見渡す。


「花畑は?……そーだ!美月ちゃん」

「はい?」

「…起きたんだ」

「はい 起きてますよ」


なぜか坂田さんはガックリと項垂(うなだ)れた。


「美月さん顔洗うのはこのタオル使ってください」

「ありがとう」


顔を洗ったりして身仕度が完了してから神楽ちゃんが作ってくれた朝御飯(卵かけご飯)を食べた。

 
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