□冥姫 第三十話
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お茶の用意をして戻ってきたら
スイーツには……マヨネーズが大量にトッピングされていた。


「気にするな、この前のケーキの礼だ
足りないなら言えよ、いくらでも足してやるから」


悪気がないのはその少年のような笑顔を見れば解るけど………
この怒りというか やるせなさは、どこにぶつければいいのか…。


回想終了。


「しかも!」

「まだあるんですね」


ついさっき

美月の回想。

休みの今日 一ヵ月前にダメにされたケーキを買いに行った。

行列に並ぶこと二時間三十七分
やっとケーキを手にいれて屯所に帰った。

廊下を歩いていると


「総悟ォ待ちやがれェェェ!」


また追い駆けっこか。

沖田さんが走ってきて久しぶりに私の後ろに隠れる。

沖田さんに続き土方さんが走ってきた。


「今日という今日は勘弁ならねェ!」

「ちょっとしたお茶目でさァ」


二人は私の周りをグルグル回りながら追い駆けっこを再開した。


ふとした拍子に土方さんがケーキの入った箱を弾き飛ばし、高く上がった箱は
グシャリと庭に着地した。

歪んだ箱からケーキが半分飛び出ている。


追い駆けっこは中断し三人で箱を見た。


「あーあ、土方さんヒデーなァ」


沖田さんが呆れたように言う。


「原因を作ったのはテメーだろ!」


合わせて八時間三十八分の怒りが引き金になり、堪忍袋から様々な感情が溢れだすような感覚がした。


「…ひ、ひ、土方さんのバカ!
意外と甲斐性なし!
いつか土方さんのタスポ四つ折りに折って

土方さんのこと
“ぴじ方にゃん四郎”さんか
“ぴじ方十四郎にゃん”さんってカワイイ感じで呼んでやるー!

しばらく家出します!
捜さないでください!!」

「ちょ、待てえええェェェェ!!」


屯所を飛び出したがぴじ方にゃん四郎さんが追い掛けてきた
でも撒いて、私は万事屋さんへと向かった。


回想終了。


「糖分に対する冒涜行為ばっかじゃねーか!」


坂田さんが立ち上がって叫んだ。

さすが糖分大好き坂田さん。


「マヨラー酷いアル
美月ちゃん何日でも泊まってくといいヨ」

「神楽の言うとおりだ
何日でも泊まってってくれ!
むしろ泊まっていってください!」

「依頼 受けて頂けるんですね
ありがとうございます」


キャッシュカードは財布に入れてるから問題ない。

依頼料はいくらくらいだろう?


「美月ちゃん見くびってもらっちゃ困る、
俺は美月ちゃんのお願いなら依頼とか関係なしになんでも聞いちゃうよ」

「そうヨ、美月ちゃんが困ってるなら力になるネ」

 
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