□冥姫 第三十話
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仏の顔も三度まで?



ピンポーン

「金はねーってんだろうが!クソババア!!」


坂田さんの飛び蹴りで引き戸が倒れてきたので避けた。


「………」


坂田さんが私を見て 目と目が合う。


「…美月ちゃん!?」

「お取り込み中みたいですね
また後できます」


「全っ然 取り込んでないから!
暇すぎて畳の目でも数えようかと思ってたくらいだから!
むしろ数え始めてたから!」

「そうなんですか」

「クソババアは下の家賃取りのババアのことだから!
美月ちゃんのことじゃないからね!
嘘だと思うなら俺の目を見てよ!!」


目が血走っている。


「別に疑ってません」


坂田さんは戸をガタガタとはめた。


「よかった…でも美月ちゃんが俺のところにくるなんて珍しいね、
もちろん銀さんに会いにきてくれたんだよね?」

「はい、今日は依頼があってきたんです」



万事屋、応接間

ソファーに座った私の目の前にはお茶と坂田さんと新八君と神楽ちゃんの三人。


「家出(?)してきました
暫らく匿(かくま)ってください」

「「「え?」」」

「家出してきました
暫らく匿ってください」

「家出って?」

「屯所を飛び出してきたんです」

「えええ!美月さん本当ですか!?」


思い出すとムカムカしてくる。


「土方さん改め“ぴじ方”さんに愛想がつきたんです!」


腹立たしさが声に比例する。


「ぴ、ぴじ方!?」

「マヨラーにセクハラされたアルカ?」

「セクハラじゃないけど堪忍袋の緒が切れたの」


それだけじゃないけど腹が立ったのも事実。


「よかったら詳しく理由を聞かせてくれませんか?」

「あれは一ヵ月前」


美月の回想

今日は休みなので雑誌やテレビで紹介されてた有名なケーキ屋さんにケーキを買いに行った

単純に食べてみたいと思ったから。


行列に並ぶこと二時間五十分
念願のケーキを手に入れ屯所に戻った。

お茶の用意をして戻ってきたら……土方さんがケーキにマヨネーズで……デコレーションしていた………

すでに生クリーム等でデコレーションされてるのにも関わらず。

怒りを通り越して脱力した。


「……そのケーキ…………
土方さんにあげます……」

「いいのか?」

「…遠慮せずどうぞ」

「サンキュ」


回想終了。


「美月ちゃんは優しいね
俺なら4分の3殺しにするよ」

「それだけならまだしも」

「やっぱりまだあるんですね」


美月の回想

約二週間前

休みだった私は最近話題のスイーツ店へ話題のスイーツを買いに行った。

行列に並ぶこと三時間十一分
念願のスイーツを買って屯所に戻った。

 
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