□冥姫 第五十五話
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私は恋に気がついた日から土方さんと会うのをやめた。


全体会議などがあるので完全に会わないというのは不可能だけど、それ意外で会うのをやめた。


もちろんあからさまに避けるのではなく、タイミングをずらすことにした。

それとは反対に沖田さんと会うことが増えた、
スキンシップも増えた、軽いボディタッチ。

沖田さんのほうが年上だけど、なんだか弟が戯(じゃ)れているみたいで可愛いかも。


書類提出は土方さんが席を立った隙を狙って、机の上にサッと置いてサッと出る。

食事も食堂に行く時間をずらして食べている。
こうしてタイミングをずらしてみると、案外顔を会わせずに済むんだなぁと見回りをしながら思った。





少し前から宮中と会わなくなった。


タイミングがどうも合わないと思っていたが、意図的に避けられていたようだ

さっき部屋に戻ろうとしたら、俺の部屋から気配を消しながら こそこそと出ていく宮中を見た

不思議に思いながら部屋に戻ると机の上には宮中が置いた書類

あいつは今まで書類を置いていくとき、気配消したり こそこそしたりしなかった、見たことすらない。

気配といえば総悟が憎しみを込めた視線を送ってくるようになった
いつもは飄々と俺を狙ってくるのに。

まあ総悟より今は宮中だ。

俺と顔を会わせたくないほど怒っているのか?

怒りで耳が赤くなるなんてよっぽどだ

だが会議などで見ると至って普通だ。

以前の家出のときとも違う、会議のときに話しかければ普通に答える。


なぜ俺を避ける?


あいつは避ける理由がなけりゃ避けたりしない。


気がついてから三週間以上たった

何か機会はないかと探っていたある日、
ついに機会が巡ってきた、宮中が提出した書類に不備がみつかった、やっと口実を得た。


次の日の会議中


「宮中、書類のことで話がある、あとで俺の部屋にこい」

「はい」


呼び出すことに成功した。





特に疑問も持たずに土方さんの部屋に行ったら座るように促され、正座して座る。


土方さんに向き合う形で正座したが、土方さんの顔を見ないように首と顎のあたりに視線を向ける


「俺の首がそんなに気になるか?」


あっさり指摘された。


「それより書類の話ってなんですか」

「この書類に不備がある」


差し出された一枚の書類を受けとる


「ここだ」


土方さんの指が問題の箇所を指す。


「すみませんでした、直してきます」

「まあ待て、お前 俺を避けてるよな、なんでだ?」


書類と何も関係ない質問がきた

それより気がつかれていたことに軽く焦る


認めるわけにはいかない。
 
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