□冥姫 第五十三話
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近藤さんも私も衝撃を受けた。
そしてまた既視感。


土方さんに何があったのか
私は一人で調査を続けることにした。


「お疲れさまです、お茶を淹れてきたので一休みしませんか」


土方さんが三度寝から目覚めてすぐに用意していたお茶を持って声をかけた。


すっかり覇気をなくした目が私に向けられる。


「ありがと、やっぱり美月ちゃんは気が利くね」


“美月ちゃん”この一言で確信した、土方さんそっくりの偽物か、中身が入れ替わった誰かだ。


私は静かに立ち上がり、刀を抜いて湯飲みに口を付けた土方さんの鼻先に突き付けた。


「え…?ちょ、ちょっと、え!?え!?待って」

「あなた誰」

「へ?」

「土方さんは私を美月ちゃんなんて呼ばない
おまえは誰だ」


最後は目付きを鋭くして尋ねた。


「は、話すから落ち着いて!?」

「妙な動きをしたら斬る」


土方さんもどきが冷や汗をかきながら やや早口で説明した。


「つまり坂田さんと土方さんの中身が入れ替わった、と」

「そうなんだよ」


刀を鞘に戻した。


「体は大丈夫ですか」

「前髪がどうやっても変わらない以外は特にないよ」

「それならいいですけど
土方さんは万事屋ですか?」

「うん」


話を聞いた私は万事屋に向かった。


物陰から万事屋を伺っていると いつもより凛々しい顔をした坂田さんが出てきた
どこかに出掛けるのか階段を降りている。


階段を降りきったところで物陰から飛び出した。


「土方さん」

「宮中!?」

「事情は坂田さんから聞きました」

「そうか…宮中 俺は元に戻るまで万事屋になる
それまで真選組の事を頼む」

「…はい」



−−−



土方さんに頼むと言われたので、土方さんになった坂田さんのサポートを積極的に行うなど、私なりに努力した

しかし土方さんになった坂田さんの影響によって、規律は守られなくなり、真選組はハッチャケすぎた暴走族みたいになってしまった。


どうしよう…話し合い(お説教)で解決するだろうか?


一方坂田さんになった土方さんは、真選組のような組織を作り活動している。


お互いもとに戻る方法を探しているが成果なし

私も魂を入れ換える術(すべ)は知らないのでどうすることも出来ない。



そんなある日の見回り中、爆走している中身坂田さんの土方さんとすれ違う

何事かと振り返ると、坂田さんも私に振り返る。


「美月ちゃんネコ見なかった!?」

「ネコ?どんなネコですか」


坂田さんの話によると、坂田さんの魂は半分に割れていて、半分が猫の死骸に入ってしまい猫は生き返ったらしい
そしてその半分の魂があれば元に戻れるそうだ。

 
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