二万ヒットフリリク

□ツンデレ×天然=誤解
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今 多串君といいましたか?


携帯…は、充電中だから置いてきたんだった

すぐ帰るからいいかと思って。


だけどまさか土方さん直々に万事屋さんに電話してくるとはね。


「なんて言ってたんですか」

「居るなら美月ちゃんに代われって
んで、今いいとこだから(お喋りが)邪魔すんなつって切った」



…盛大な足音が近づいてくる。


ガラリと玄関の戸を開ける音がして廊下を見ると鬼がいた。

鬼は坂田さんを睨んだあと私を見た。


怒ってる
ものすごく怒ってる

そよ姫様のときより怒ってる、空気で分かる。


鬼は私の手首を痛いほど握り締めて引っ張っていく。


「花売りによろしくね〜」


どういう意味だろう。


土方さんは有無を言わせず万事屋の前に停めてあったパトカーの後部座席に私を放り込むと車を凄いスピードで走らせた。


私と土方さんだけの車内は怒りに満ちている

気まずい…。


屯所に着くなり また私の手首を掴んで副長室まで引きずって部屋に放り込まれた。

受け身をとったので痛くはない。


土方さんが私を見下ろす

あ、これは殴られるな。


「宮中 一つ聴く、こんな時間まで何をしていた」

「時間を忘れるほどのお喋りです」


土方さんの手が伸ばされた
いよいよ殴られる、と思ったら痛いほど抱き締められた。


えっ、鯖折(さばお)り?
鯖折りされるの?(背骨を折ろうとする技)

体が放された。


「心配した、帰ってこないからあのヤローと何かあったのかと思った」

「すみませんでした、でも坂田さんと何かなんてありえません」

「お前 花売りを捜してたんだな」

「土方さんが教えてくれないからです」

「見つかるわけねェよ
花売りなんていないんだから」


………。


「いない?」

「いない、あれは俺の嘘だ」

「なんでそんな嘘…」

「あの花はお前のために買ってきたんだ」


私の頭をポンポンと撫でる。


「私のために?」

「惚れた女に花ぐらい送りたいだろ」


ホレ‥惚れ‥惚 れ た!?

頬が染まる

なんで赤面してんの私

頬を手でパタパタ扇いで熱をさます。


「上々な反応だな」

「ち、違うんです!」

「何が違うんだ」

「これは、あの!えと!」


頭が回らない。


「よっ、と」


土方さんの膝の上に座らされた。


「降ろしてくださいっ」

「俺のことが好きだと認めたら降ろしてやる」


なんの確信犯だ!!


落ち!落ち着こう
とにかく落ち着こう。


私があんなに捜した花売りは嘘で、
捜しだそうと意地になってたのは土方さんの言葉が心に刺さったからで、
花が嬉しくて、花は土方さんがくれたからで。


…ん?花が綺麗だから嬉しかったんじゃない。

土方さんに花を貰えたことが嬉しかったんだ。

つまりは好きなのかな?


土方さんの顔がアップになってきた。


あっさり認めるのはちょっと癪な気がする。


でも これからされる事が嫌ではない。


しょうがないなぁ、認めますという言葉の代わりに目を閉じた。





→後書き
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