二万ヒットフリリク

□万事屋ヒロイン
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仕方ないのでアドバイスのようなものを教えた。


「――ということです」

「なるほど〜」


近藤さんはメモを取りながら熱心に聞いている。


「先生、質問があります」

「なんでしょうか」

「実際のところ先生は誰が好きなんですか」


・・・。


「なな、な、」

「前から気になってたんだよ(勝手に妹のように思ってるから)」


ポワンと脳裏にあの人が浮かんだ。


「きゅ、急にそんなこと言われても、こ、こ、困ります!」

「その焦りようからして答えは出てるんだな」


擬音で表すならギクッだ。


「誰なんだ、近藤さんにだけでも教えて〜」

「こ、答える義務はありません!失礼します!」


ダッシュで屯所を飛び出して逃げた。




そう‥誰が好きかなんて分かりきっている。



遠回りになるけど ある場所に向かった。


あの雨の日、ここであの人を初めて見かけた。


雨で返り血を洗い流していて、言いようのない眼をしていた。


傘を差し掛けたかったけど全身で拒否してるような
それでいて誰かが傘を差し掛けるのを待っているような、

そんな雰囲気に呑まれて私は見送るしか出来なかった。


それは僅かな後悔として私の心に残っている。


だから想いを自覚したときに決めた

次に同じことがあったら
傘を差し掛けて伝えよう

「沖田さんが好きです」と。


縁があるならきっと雨の日にまた出会えるはず。

それまでは伝えないと決めている。



賭けにも似た告白の条件を満たす日が近いことを
今の私はまだ知らない。




「ただい、ま‥」


応接間の惨状を見て目眩がした。

床には気絶した新八君が転がっている。


バンッ!!

壁を叩いた音で私に気がついた皆さんの動きが止まった。


「……私が納得できる言い訳があるなら お聞きしますけど?
無いならそこに正座してください」


怒りをお腹に溜めて笑顔で問うた。





→後書き
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