二万ヒットフリリク

□何にしますか?
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「なんで俺が団子屋 継がなきゃいけねェんだ」


土方さんがお団子にマヨネーズを掛けようとしている。


「お客様 当店ではマヨネーズは禁止となっております、
マヨネーズをご使用になった場合 強制的にお帰りいただくことになりますが
よろしいですか?」

「団子くらい好きに食わせろよ」


マヨネーズを掛けるのをやめてくれた。


「美月ちゃんはいつまでここで働くの?」

「お嬢さんの怪我がよくなるまでです、
朝は書類整理をしているので昼から働いてます」

「宮中 やすやすとこいつに勤務時間を喋るな」

「いいじゃないですか知らない仲でもないんですから」

「お前もっと危機感を持て」


お団子屋さんでなんの危機感を持てと?

お茶を零したり
つまずいてお団子を落としたり
常連さんの名前を間違えたり
注文間違えたりとかかな?


「このお茶いつもよりウマイな、お茶 変えたの?」

「私がここでお手伝いするようになってからは変えてないですよ」


その前は知らないけど。


「宮中が淹れてんだろ」

「はい」

「美月ちゃんはいい奥さんになるよ」

「お茶でいい奥さんになれるなんて初めて言われました」


クスクス笑った。


「お茶のお代わりちょーだい」

「俺もだ」

「はいはい、ただ今ー」


お茶を淹れに奥に引っ込んだ。



その日から毎日坂田さんもくるようになった。


もともと常連さんだし来店自体には問題などあるはずもないんだけど…
毎回 土方さんと言い合いになるんだよね。


これは私の見解(けんかい)だけど
お団子屋さんなどのお茶処って場所は憩いや休憩の場所だと思う、
なのに毎回毎回 場の雰囲気悪くしてさぁ

何?新手の営業妨害!?


…いや、この場合は土方さんに問題があるか
一回きちんと言うべきかな。



お嬢さんの怪我もすっかりよくなったある日


「やっほー、美月ちゃん」


片手を挙げてニヘラと笑っている坂田さん。


「いらっしゃいませ」


今日がお手伝い最終日であることを告げた。


「美月ちゃん今日で辞めちゃうの…?
銀さん寂しい メソメソだよ」


泣きマネされても…。


「テメーのツラ見なくて済むと思うと清々すらァ」

「多串君の顔見なくなるのは嬉しいけど美月ちゃんと会えなくなるのは嫌だー」


縋るように腕に抱きついてきた。


小さい子供が駄々をこねてるみたい。


「今生(こんじょう)の別れじゃないんですから」

「また会える?」


今生の別れごっこ?


「もちろんです」

「今度の美月ちゃんの休みの日に会ってくれる?」

「いいですよ、特に予定もないですし」

「待て待て待てェ!!騙されてるぞ お前」

「人聞き悪いこと言わないでくれますゥー?」

「そうですよ、それとずっと言いたかったんですけど
土方さんいつもここで長いしてますよね
ちゃんと仕事してください
そんなんじゃ沖田さんのこと叱れないですよ」

「ぐっ!」

「分かったら仕事に戻ってください」

「チッ」


舌打ちしながらも仕事に戻っていった。

 
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