二万ヒットフリリク

□何にしますか?
1ページ/4ページ




「いらっしゃいませ」


私は今 お団子屋さんの魂平糖さんで働いている。

別に真選組を辞めたとかではない。


実はここのお嬢さんが攘夷浪士を捕縛しようとしていたとき巻き込まれて怪我(捻挫)をしてしまったのだ。


普通なら骨折してもおかしくないのに あの程度ですんでよかった

やっぱ骨密度は大切だよ。


捻挫とはいえ怪我をさせてしまったのは事実、

評判が落ちるのを懸念した真選組っていうか私は、自ら志願して団子屋さんのお手伝いをすることにした。

攘夷浪士も今のところ おとなしいし。


こうして隊長兼看板娘(仮)が誕生したのだ。


閑古鳥が鳴いてると店主の親父さんは言っていたけど

なんのなんの

美味しいお団子を求めて日を追うごとにお客さんが増えて結構 忙しい。


「みたらし一つ」

「また来たんですか」


呆れた。


「客にむかってその物言いは感心しねェな」

「他のお客さんを睨んで早々に追い出したり
入ろうとしたお客さんを睨んで追い払うような人をお客とは言いません

営業妨害をしに来た人と言います」

「悪い虫がつかないように見張ってるだけだ」


数日前までは隊士さんだらけだったここも、営業妨害(黒い服の人だらけだと恐くて入りにくい)になるんで
くれぐれも来ないでくださいと言ったら来なくなったのに

土方さんは心配だからとかなんとか言って今日も来ている。


百歩譲ってお団子を食べにくるのはいいとして他のお客さんを追い払うのはやめてほしい。


「親父 新しくバイト雇ったのか、お嬢さん団子一つね」

「かしこまりました」


営業スマイルをお客さんにむけた。


「美月ちゃん‥だよね」

「はい そうですよ」


坂田さんは驚いている。


「なんでこんなシケた団子屋で働いてんの?
まさか真選組辞めたの!?
一言 言ってくれればよかったのに。

銀さんとこに永久就職しちゃいなよ」

「寝言は寝て言え」

「多串君いたんだ」

「悪い虫は排除しないとなァ」

「喧嘩は迷惑なんで余所でやってください」


できるだけ冷たい声で言うと言い合いが止まった。


「親父さんお団子二つです」

「あいよ」


坂田さんにお茶を出した。


「美月ちゃんてそういう格好も似合うね、看板娘はこうじゃなきゃな」


納得したようにうんうんと頷く。


「団子あがったぜ ヘヘッ」

「はーい」


お団子を運ぶと土方さんと坂田さんが無言で睨み合っていた。


「おまちどうさま」


坂田さんのだけは通常の二倍のお団子。


「俺のだけ多い、もしかして特別サービスってやつ?もち 愛の差だよね」

「はい、私の気持ちです
ってここのお嬢さんが」


店の奥の椅子に座っているお嬢さんは照れて俯いた。


「モテモテじゃねーか
よかったな、万事屋たたんでここ継いでやれよ」

 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ