二万ヒットフリリク

□薬は用法 用量を守りましょう 二日目
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朝 パチリと目を開けて眼前10cmに人の顔があったら驚くか思考停止するかのどちらかだと思う。


私は後者で、顔が眼前3cmにきたところでハッとして思わず手が出てしまったことは不可抗力だと思うんですよ

そもそも気配を消して部屋に入るのも どうかと思いますし。


頬を腫らした土方さんに説明をした。


「別にいいだろ、目覚めのキスくらい
減るもんでもねェし」

「減る減らない以前の問題です」


私の祈りも虚しく、まだ惚れ薬の効力は切れていなかった。


「それより昨日 目を閉じた後の記憶がねェんだけど」

「それは土方さんが急に眠った(当て身で)からですよ」

「眠くなるどころか 高ぶってたはずなんだけどな」


今 笑えと言われたら乾いた笑いしか出てこない。


「それより着替えるんで出ていってください」

「視たいから嫌だ」


いいから出てってください。


殺気付きで土方さんを睨んだ。

無言で出て行ったはいいが襖が少し開いていて視線を感じる。

針を投げる構えをとったら襖は完全に閉まった。


一日のスタート、爽やかな朝のはずなのに
…すでに疲れた。


着替えを終え、朝の会議に出席する。


連絡事項や仕事の割り振りを伝え最後に


「美月は俺と見回りな」

「まだ惚れ薬が効いてんだねェ」

「総悟 あんまり美月に話し掛けんな仕事の連絡なら俺を通せ」

「なんでわざわざ土方さんを通さなきゃいけないんですかィ」

「総悟 トシはいつもとは違うんだから大目にみてやりなさい」


近藤さんが治めてくれた。


会議も終わり、朝ご飯を食べるため食堂にいるんだけど


「どうした口 開けろ」

「自分で食べれますから」


昨日と同じで注目の的。


また味のよく分からない食事を終えて一休み。


見回りのことを考えると今から憂欝だ
こんなに見回りが憂欝だったことはない。



休憩時間も終わり見回りに行く時間になった。


「美月 見回りに行くぞ」

「はい」

「ほら」


手を差し出された。


「あの…」

「手を繋いで行くぞ」

「指名手配犯や攘夷浪士を見つけたとき、手を繋いでいたら不利になることがあるかもしれないですよ」

「…一理あるな、しかたねェか」


がっかり感が否めない。


いざ見回りを始めても、うなだれたまま ため息まで吐いている。


「土方さん、男なら背筋を延ばしてシャンとしてください」


背中を押すように叩いた。


「美月…まいった
やっぱりお前はいい女になるな」


今が平常時だったら嬉しい誉め言葉なんだけどな。


土方さんは背筋を延ばして前を見据えた。

うん、土方さんはこうでなきゃ。

 
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