長い夢

□冥姫 第二十五話
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10歳のとき喧嘩をして家出をしたが二時間で連れ戻された。


11歳のとき また喧嘩して家出したら四時間で連れ戻された。


12歳のとき またまた喧嘩して家出したが八時間で連れ戻された。


13歳のとき 喧嘩はしなかったが家出した

もはや家出は勝負となっていた、勝負は私の負け
十六時間で連れ戻された。


単純計算すると今の私では二百五十六時間が精一杯ってところか。


喧嘩相手に聴いてみたことがある
何故あの短時間で見つけられたのか

その人は涼しい顔でこう言った


「相手の立場になって考えれば解るわよ
もし自分ならどう逃げるか、隠れるか、考えればおのずと解ってくるものよ」


なるほど、と一つ学んだ。


家出のたびに連れ戻されていた

だから今の私を放っておいてくれてありがとう。








それは昼のことだった。

女性がメモを片手にある場所を探していた。


「すみません ちょっとよろしいですか」

「はい」


新八は女性に声をかけられた。


「真選組がどこにあるかご存じないですか」

「真選組ですか、よろしかったら案内しますよ」

「いいんですか、ありがとうございます」


女性は微笑んだ
その微笑みは ある少女を連想させる。



「ここです」

「ご親切にどうもありがとうございました」


深々とお辞儀をする。


「大したことじゃありませんよ、じゃあ僕はこれで」


軽く会釈をして女性と別れ、大江戸スーパーへと足を進めながら新八は思った

『美月さんに似てたな
もしかしてお姉さん?』





天気もいいし 平和だし 風も心地いいのに、悪寒が走るのは何故だろう。


「宮中 寒いのか」


一緒に見回りをしている土方さんが聴いてきた。


「寒いとは違うような違わないような感じです」

「どっちだよ」


寒いというかゾクゾクする、つまりは寒いのか?
と堂々巡り。


「体調悪いなら一旦屯所に帰るか」

「いえ大丈夫です」

「ならいいが」


土方さんは相変わらずだ
普通に見えてあの眼差しで見てきたり、かと思えば普通だったり。


しかしゾクゾクする。


悪寒が治まらない私を心配して取り敢えずお茶屋さんで一休みすることになった。

お団子が運ばれてきたけど手を付ける気がおきない。


「食えよ」

「今はちょっと食欲がなくて」


「…メガネの文通相手に手紙書いたとき俺に言ったよな“違う意味で見直した”って」

「言いましたね」


疑ってかかると。


「俺も今 違う意味でお前を見直した」


なんだろう?


「お前の言う“大丈夫”は、まず疑ってかかることにした」


それはマズイ!


「ちょっと待ってください誤解です、フォローさせてください!」


言ってから気がついた
土方さんも同じようなことを言っていたな、と。


………。


なんだか可笑しくなって二人でクスクス笑い合った。

 
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