長い夢

□冥姫 第二十四話
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一瞬呆けたが急いで布団から出ようと背を向けたら
腰に両腕が回され体が密着するほど引き寄せられた。


病人を殴るのは気が引けるけど、仕方ない。

手を振り上げようとしたところで


「宮中……どこにも行かないでくれ…」


土方さんを見てみると寝ていた。

引っ張り込んだのは寝呆けてたからだろう。

もしかしたら恐い夢でも見たのかな?


「どこにも行きませんよ」


土方さんは穏やかな顔になると、腰に回した手から力が抜けて腕がほどかれた。


布団から這い出た私は土方さんの額に口付けた

古来から少女の口付けは悪夢を退ける効果があるとされる。

まだ熱が完全に下がったわけではないので冷却シートをそっと貼った。



その後も看病を続けたが眠い。

うとうとして少しだけと思って目を閉じた。





目を開けると布団に横になっていた、上半身を起こすと


「起きたか」


土方さんが上着に腕を通しているところだった。


慌てて起き上がり土方さんの額に手をあてた。


「熱 下がりましたね」

「あんだけ寝りゃな」


よかった。


「大事をとって今日も休んだほうがよくないですか」

「そんなヤワじゃねェよ」


やっぱりね、な返答。


「土方さん涼夜に何を言われたんですか」

「お前は知らなくていいことだ」


減るもんじゃなし教えてくれてもいいのに。

これ以上聴くなと目が語っている。

心の中でため息をついた。





土方さんの熱が下がった数日後

私はテレビで天気をチェックしていた。


「では、続いてハリケーンの情報をお知らせします

発生したハリケーン88号はゆっくりと江戸に接近し
真選組屯所は大荒れになるでしょう」


はあ?と思ったところで目を覚ました。


なんだ?今の夢。





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