長い夢

□冥姫 第二十四話
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「悩み事があるなら話くらい聞きますよ」


私のアドバイスなどいらないだろうが聞くことはできる。


「お前の弟ってどんな奴なんだ」


涼夜絡みなのか?


「優しいですね
子供の頃、私が弟の手を引いていたのもあって、ご存じのとおり今でも仲がいいんですよ
弟は家族愛が強いですね」

「シスコ…家族愛は分かったが優しいか?」


ピンときた。


「悩みの原因は涼夜ですね
ごめんなさい
敵認識した相手には容赦ないんですよ」


敵基準が解らないから私には事前対処のしようがない。


「知ってるのか、あいつの本性」

「姉ですから」


本性というか退魔師として裏に関わってるから
頼み方とか脅し方とか色々覚えていくんだよね。


「上っ面だけ見てるのかと思った」


なに言ったんだ涼夜。


「沖田さんがいつもと違うのも涼夜のせいですね」


居ると思ったら どこかにフラリといなくなることが多くなったり、ぼんやり考え事をしているというのが多くなった。


今日だっていつもなら抹殺のチャンスとか思って何かしらやるだろうけど何も言わないし何もしてこない。


「お前が気にするこたァねェよ」

「よかったら涼夜がなんて言ったか教えてくれませんか」

「眠い」

「は?」

「眠いから寝る」


目を閉じた。


ホントに何言ったんだ涼夜!





お昼

土方さんは本当に寝たようだ。


昼食を食べに行ったらまた隊士さんたちに病状の質問をされたので答えていく。



戻っても土方さんは眠っていた。


自分の書類は終わったので私でもできる土方さんの書類をやっておこう。



日差しの色が変わったことに気づき時計を見ると夕方だった。


土方さんはまだ眠っているけど苦しそう、熱が上がったのかも。

私に出来るせめてものことはタオルで汗を拭くことだけ。

……看病中にこんなこと思うのが不謹慎なのは分かってる
分かってるけど土方さん…色っぽい 大人の魅力?

色気ってどうやったら出るんだろう、元気になったら聴いてみようかな?


あと実は色気話とは別に素朴な疑問がある。

土方さんがあまり寝れなくなったのは涼夜のせいであろうことは推測できる、

でも たかだか16歳の涼夜の言葉に土方さんが惑わされるとは思えない。

確かに涼夜は裏世界と関わりがある。

裏で頼み方とか脅し方を覚えたとしても裏世界との関わりなら土方さんだってある、
伊達に真選組副長を務めているわけではない

その土方さんが何を言われたらここまで惑わされるんだろう。


引き起こしたのが弟なら解決させるのは姉である私の役目だ。

でも何を言ったのか解らないと解決の仕様もないじゃない。





深夜

土方さんの額に貼ってある冷却シートを起こさないようにそっと剥がし、手を額に置き熱を測る

たいして熱くない。

よかった、熱は下がったようだ。


うっすら土方さんの目が開く。


「ごめんなさい、起こしてしまいましたか」

「…宮中?」


私の手を取ると布団に引っ張り込んだ。

 
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