長い夢

□冥姫 第二十四話
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病気になったら人恋しくなる

それは余裕があるからだ。


本当に病気で苦しいときは
人恋しいなんて言ってられない。







昨今 気温の変化が激しい
でも真選組には関係ないことだと思っていた、が…


「38.5度ですね」


デジタル体温計に表示されている数字を読み上げた。


「トシが熱だすなんて初めてじゃね?」


ここは土方さんの部屋
布団に横になっているのは熱を出した土方さん。


まさに鬼の霍乱(かくらん)だ。


朝の会議にフラつきながらきたので調べたら 高熱をだしていた。


みんなの勧めで休ませているけど


「こんぐらいどおってことねえよ」


布団から出ようとする。


「いいから寝てろって」

「そうですよ、悪化したらどうするんですか」

「最近は忙しかったからな
今日は一日休んで寝てろ」


近藤さんの説得でしぶしぶ土方さんは休むことになった。


「何か欲しい物ありますか?」

「ねェな」

「副長 薬持ってきました」


山崎さんが薬と水差しに水を入れて持ってきた。


「薬は少しでも食べてからにしたほうがよくないですか」

「そうだな」

「それなら大丈夫、給仕のおばちゃんにお粥 頼んでるから」


山崎さん手際(てぎわ)いいな。


「私とってきます」


外に出ると隊士さんたちが次々に病状などを聞いてくる、
なんだかんだ言って皆さん心配してるんだなぁと思う。


お粥を持って戻った。


「お粥持ってきましたよ」


さっきまでいた近藤さんと山崎さんがいない。


「近藤さんと山崎さんはどこ行ったんですか」

「仕事に戻らせた」

「そうですか、はいお粥どうぞ」

「欲しくない」


頑(かたく)なに食べようとしない。

しょうがないなぁ、

お粥をひと匙(さじ)掬(すく)い、フーフーと冷ます。


「はい あーん」


土方さんは食べようともせず、拒否の言葉も言わず、固まっている。


「土方さん?」


ハッとしたように私が差出しだ匙を奪い取った。


「自分で食える」


元々一膳だけだったお粥を全部食べて薬を飲んだ。


「安静にしてくださいね」


立ち上がろうとした私の隊服の裾を掴んだ。


「あ、ワリィ」


手を引っ込める。


「土方さん今日はここで仕事してもいいですか」

「さっきのことは気にするな」

「いいじゃないですか 看病しながら仕事ができるし、
書類取ってきますね」


自室で書類を取って土方さんの部屋に戻った。

書類を始めると部屋は静寂に包まれる、
これなら土方さんもゆっくり眠れるだろう。





書類が一段落ついたので様子を見てみる。


「目を開けたまま寝てるわけじゃないですよね」

「寝てねェよ」


起きていた。


「なんで寝ないんですか、私がいるせいなら出ていきますけど」


人がいると気になるよね。


「別にお前のせいじゃねェ
俺が勝手に色々考えて眠れないだけだ」


最近あまり寝てないみたいだと思ってたけど悩みでもあるのかな。

 
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