長い夢

□冥姫 第二十三話
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「そいつとは…その……想い合ってるのか」

「はい」


「結婚の誓いを立てたってのはマジでかィ」


…結婚の誓いを立てた
間違いではない、

それよりも…


「覚えてたのかな涼夜」


あのときのことを思い出し胸がホンワリした。


「分かった…もう…いい」


涼夜が攘夷派かどうか確かめたかったのかな。


「はい、私もう休ませてもらいますね、お休みなさい」


部屋に戻って布団に入った。

その日 見た夢には涼夜が出てきた。





あれから二週間が立った。

涼夜には空いた時間にできるだけ会いに行っている。


久々にお菓子を作って持っていったりもしている。


せっかく近くにいるんだからできるだけ会いたい

一緒にいれるだけでいい。


そういや あの夜から土方さんと沖田さんが何かをコソコソ話し合ってるみたい

抹殺方法や暗殺がどうとか言ってたから敵に対しての作戦でも考えてるんだと思う。





今日はお昼の休憩時間を利用して穏やかに涼夜と散歩してたんだけど。


「涼夜 気付いてる?」

「不粋な連中だね」


私たちの後を付ける怪しい二人組と物陰からこちらを伺う多数の人間。


人気の無い道にきたところで声をかけられた。


「冥姫とお見受けする」

「幕府の犬に成り下がり、我ら攘夷に楯突く輩に天誅をくださん!」

「なんで今日 襲撃してくるかな〜」


別の日にしてほしい。


「そんな口が叩けるのも今のうちだ!
男に現つを抜かした貴様など恐るるに足らぬわ!」


ぞろぞろとお仲間が出てきた。


刀を抜こうとしたところで涼夜が私の肩をポンと叩く。


「俺にやらせてくれないかな、体が鈍ってるんだ」


腰に差した木刀を抜いた。


「別にいいけど一人も逃がさないでね」

「分かった」



敵を薙ぎ倒していく涼夜
確実に強くなっている、

刀なら さぞ鮮やかな斬り口ができただろう。


敵は最後の一人になっていた。


「き、貴様何者だ!」

「死にたくないなら俺が誰か知ろうとするな」


最後の一人も薙ぎ倒され、敵は全員 地に伏した。


「お見事」


パチパチと拍手をする。


「まだ序の口だよ、もっともっと強くならないと」


真選組に連絡して敵を捕縛してもらった。



当事者である涼夜と屯所に戻って近藤さんと土方さんに報告中。


「一人で敵を!?
美月ちゃんじゃなくて君が!?」

「はい」

「しかし君はいったい何者だ?」

「紹介しますね、私の弟の涼夜です」

「初めまして弟の宮中涼夜です」

「はあ?」

「美月ちゃんの弟か、どうりで強いはずだ」

「こ、恋人なんじゃねェのか!?」


恋人?

私に覚えはないが涼夜には思い当たる節があったようだ。


「あぁ、あんたがあいつの……
軽い冗談だったのに、そんなに信じてもらえるとは思わなかった」

「想い合ってるって言ったよな?」

「大切で大好きな弟です」

「大切で大好きな姉です」


「結婚の誓いは?」

「分別のつかない子供のころにしました」

「抱き締め合ってたとも聞いたが」

「仲がいいんです、久しぶりの再開でしたし」

「胸に顔うずめてたって聞いたぞ」


そこまで見られていたとは。


「あの小さかった弟が大きくなったなぁと感慨深くて」

 
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