長い夢

□冥姫 第十九話
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見回り中
携帯に沖田さんから連絡が入った

緊急事態だからファミレスに来てくれと。


何事かとファミレスに行くと綺麗な女性と沖田さんと坂田さんが座っていた。


「大親友の坂田銀時君と
恋人の宮中美月ちゃん」


はい?


「いつからお前と俺が親友になったよ?
なんで美月ちゃんと付き合ってることになってるんだよ?殴るぞ」

「旦那 美月ちゃん
友達も恋人も宣言してなるもんじゃなく いつの間にかなってるもんでさァ」

「恋人は違うと思います」


「あの」

「はい?」

「初めまして
私はそーちゃんの姉の沖田ミツバです」


ホント綺麗な人だな
言われてみれば沖田さんに似ている。


「初めまして宮中美月です」

「こんな可愛い子とお付き合いしてるなんて、そーちゃんも隅におけないわね」


沖田さんの恋人にされてる。


「違いますミツバさん
私と沖田さんは別に───」


…沖田さんから情に訴えるような視線を感じる

嘘に付き合えってことね。


「別に…お付き合いをさせていただいています〜」


坂田さんが何か言いたげな視線を私に向ける。


「いつの間にか去るのも友達だ、俺は帰る」

「すいませーんチョコレートパフェ三つ」



「友達を通り越し俺としては弟みたいな?
ね、総一郎君」


坂田さんは買収された。


「総悟です」


ミツバさんがチョコパフェにハンパない量のタバスコをかけた。


「そーちゃんがお世話になってるお礼に特別においしい食べ方を教えようと思って、辛いものはお好きですか」


ミツバさんは辛党なんだ。


「俺チョコパフェ二杯で満腹になったかも」


ミツバさんが咳き込みだした

咳がひどくなる。


坂田さんは意を決しチョコパフェを食べて火を吐いた。



その後は四人で江戸の街を案内したりした。


合間に聞いた話によるとミツバさんは病気中だが結婚のために武州から出てきたそうだ。

見てたら分かるけど沖田さんは本当にミツバさんが大好きなんだな。





陽もとっぷり暮れてミツバさんを婚約者の屋敷の前まで送った。


色々やることがあると言って屯所に泊まればいいと言う沖田さんの申し出を断る。


「じゃ姉上 僕はこれで」

「待ってそーちゃん…あの人は…」

「野郎には会わせないぜ
今朝方 仕事で出かけて行きやがった薄情な野郎でィ」


沖田さんは振り返りもせず去っていく。


「あの、私もこれで」

「あ、待って
ちょっといいかしら」

「はい」

「ごめんなさい我儘な子で、私が幼くして両親を亡くしたあの子を甘やかして育てたから、
頑固で身勝手で負けず嫌いで
友達だって一人もいなかった、
いつも一人ぼっち
近藤さんがいなかったら今頃どうなっていたか

今でも恐いんです
ちゃんとしてるか。

ホントはあなた達も友達でも恋人でもないんでしょう

無理矢理突き合わされたんですよね」

「仰るとおり私は恋人ではありませんけど、沖田さんは優しいですよ」

「あいつは仕事サボるわ
Sに目覚めるわ
不祥事起こすわ
ロクなもんじゃねー

友達くらい選ばなきゃいけねーのに俺なんかとつき合ってロクなことにならねーぜ」


ミツバさんがクスクス笑いだした。

 
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