長い夢

□冥姫 第十八話
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「頼むよ このことは内密に」

「まあいいですけど」


店長さんからしてみれば
上客を掴むチャンスを逃したくないのだろう。



「すまない、妙ちゃんは おられるか差し入れを…」


九兵衛さんが東城さんを伴ってやって来た。



九兵衛さんはあれよあれよと着替えさせられ、可愛いキャバ嬢に変身。

その可愛らしさはお妙さんも店長さんも太鼓判を押すほど。


「貴様らァァァ!若に何をするかァァァ!!」


怒る東城さんをなだめる坂田さんと新八君。


「若は…!若は…!ゴスロリのが似合うぞ!!」


九兵衛さんの蹴りがアゴに決まった。

ゴスロリが趣味なんだ。


九兵衛さんは戸惑いながらもお妙さんが困ってるなら力を貸す、と言ってキャバ嬢になってくれることになった。


その横では神楽ちゃんがお化粧をしている、

私もそろそろ着替えたほうがいいかな。


復活した東城さんはまだ反対する。


「若 キャバ嬢などいけません!
キャバ嬢は男とマットの上でヌルヌルになって気持ちいい…」


うわ〜引く。


「お前が通ってる店はキャバクラじゃねーだろ」


その後で発覚したのだが
九兵衛さんは男性に触られると虫酸が走り、反射的に相手を投げてしまうというキャバ嬢には向いてない癖があった。


九兵衛さんの決意の固さに負けた東城さんは護衛として自分もキャバ嬢になるとか言っていたが

キャバ嬢ではなくソープ嬢の格好をしていた。



開店時間が近づき、皆さんはホールに移動していった。


そろそろ私も着替えないとね。

今回の私の任務はキャバ嬢に成り済まし、松平様に連れられてくる将軍様を護衛するというものだ。


なんで近藤さんと土方さんはあんなに反対したんだろう。


お店にあらかじめ常備されている着物に袖を通す

着替えが終わるとお化粧をした、薄化粧を心がけて完成。

あんまり変わってないけどいいか。


髪はどうしようかな

両サイドの髪だけを後ろで一つに纏めよう

飾り付きのバレッタで留めた。

鏡の前で確認

うん、変なところはない。

刀は鞘袋に入れて持ち歩く。


私がホールに行くと見知らぬ女性が二人いた

ソープ嬢姿のネコ耳さんとボンテージを着た女性。


「坂田さんこちらの女性はどなたですか」


私を見て固まる坂田さん。


「…美月ちゃん!今から俺とデートしよう」

「デート?無理ですよ
私は護衛を…」

「いいから いいから」


よくない。


ぐいぐいと私の腕を掴んで引っ張る

目がなんか…。

他の皆さんに助けを求めようにもなんか呆然としている。

仕方なく私は坂田さんの頸動脈にチョップをした。


「はっ!俺は何を?」


正気に戻ってくれた。


「坂田さん放してください」

「ごめん、美月ちゃんがあまりに綺麗なんでつい無意識にあんなことをしちまった」

「いいですよ、気にするほどのことでもないですし」

 
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